学園内の忍ぶ恋模様
□杜若
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不運委員会委員という不名誉な肩書きを背負って、今年で6年目となってしまった。
下級生の頃は嫌で嫌で仕方がなかったけど、最近はもう慣れたものだ。
(そのはず、だったんだけどなぁ……)
「くしゅんっ」
「!乱太郎、大丈夫かい?!……すまなかったね」
「え〜大丈夫ですよお!へっくしゅっ」
縮こまる小さな体をようやく拭き終わり、震える肩にタオルをかける。
不運にはなれたつもりだった。
この子を、乱太郎を好きになるまでは。
乱太郎はそもそも不運な子。僕といればますます不運にさせてしまう。
今日だって、僕の不運に巻き込んで川に落ちて。
(つくづく、自分が嫌になるな……)
だって、僕は君を不幸にしか出来ない。
「あっそうだ!はい、伊作先輩っ」
「……え?」
「水のなかに綺麗な花が咲いてたんです!ふふふ、私はじめて見ましたぁ!」
そう笑う乱太郎の手には、確かに沈んだ先でみた杜若。
「伊作先輩といると、いろいろ発見できて私嬉しいですっ」
「っありがとう……!僕も、乱太郎といると嬉しいよ」
杜若*幸せは必ず来る