屈折した、(愛の形)

□る
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「・・左近、まだ寝ないのか?」
「え?ああ、まだやることがあって。先に寝ててよ。もう終わるし・・」
「お〜・・ふぁあ〜・・」

むにゃむにゃと再び寝に入った友人に苦笑し
、自分もふああと小さく欠伸をした。それからぶんぶんと頭を振って、ゆっくり立ち上がり保健室へ歩く。
ふらふら、ぽてぽて。伊作がいたらふふ、と笑い保護しそうだが、あいにく6年は出ていていない。

(あと、もう少し・・保健室にこれをおいてくれば、寝れるぅ・・)

よろよろとすでに目を閉じたままあるいていれば、ぽすん、とあたたかいものに当たった。反射的に、ぬくもりをもとめていた体から力が抜ける。ずるずると崩れる体は伸びてきた腕が支えてくれた。

「・・ふぇ・・ありがとう、ございますぅ・・」
「いや・・これを保健室にもっていくの?」

伊作先輩、と続けるはずだった言葉は男の声で消えた。目が覚めた左近がおそるおそる見上げれば、そこにいたのはタソガレドキ忍者、高坂だった。

「ひ・・っ!」
「重いだろう、持つよ。貸してごらん」

おびえる左近をしり目に、高坂は左近から荷物をとり、保健室へと入っていった。

「あ、あれ・・?」

ぱ、と掌をみるといまだある保健室のカギ。どうやって入ったんだろう、と驚いているうちに、高坂が戻ってきた。瞬く間にカギをしめ、左近の前に立つ。
左近は後ずさるが、構わず高坂の手が左近の頭におかれ、ゆっくりなでた。

「ふえ?」

すっとんきょうな声をもらす左近に、忍務の疲れが吹っ飛んだ様子で高坂は笑い。

「心配だから、部屋まで送らせてもらってもいいかな?」

有無をいわせぬ笑みでつぶやいた。

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