銀魂 ―そっくりなアイツ―

□鈍感も良し悪し
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「総悟!
てめ、昨日どこに行ってやがった!」

朝の屯所に響き渡る土方の怒鳴り声。

朝の素振りをしている隊士たちも手を止めた。

「うるさいでさァ。
寝起きの頭にひびく………」

縁側に寝転がる沖田は、赤いアイマスクを親指で上げる。

そこには、煙草をくわえ腕を組んで仁王立ちをしている土方の姿が…

「真奈美と映画でさァ。
………羨ましいですかィ?」

ニヤリと生意気に笑う沖田。

それにイラついた土方は、わなわなと拳を握った。

「まぁ良いではないかトシ。
昨日はまぁ…午後から仕事抜け出したけど、ここ最近の総悟は仕事熱心になったことだし。」

竹刀を持った近藤は、中庭から土方を言葉であやす。

「それはそうだが…」

土方は拳を緩め、下げた。

「違いますぜィ、近藤さん。
土方さんは俺に嫉妬してまさァ。
真奈美と映画に行ったのが気にくわないんでさァ。」

そう訂正した沖田の頭を土方が軽く叩く。

嫉妬してないと言えば嘘になる。

最近よく見廻りに出掛けるようになった沖田のお目当ては真奈美。

真剣に周りに注意をはらってるかのように見えるのだが、本当は真奈美を探している。

そんなのは俺も同じか。

土方はため息をつき、竹刀を取り出した。
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