story

□sing...sink...
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歌おう。
ずっとどこまでも響く歌を。
奏でよう。
俺らの最高の声を。
沈もう。
どんどん深くまで。
沈もう。
誰にも見られないように。


そう。あの日。俺は…見つけてしまった。
カッターを。なぜ?…俺の家にカッター…こんなの持ってなかったはず。
そう。わかったのだ。
昨日家にあげたやつ。
そろそろ…
「昨日のライブおっつかれーっ。でさぁ、カッターない?」

こいつだ。もう夏といってもいいくらい暑いのに。俺は半袖着てるのにあいつはいつも長袖だ。

「いいけど。何で長袖?」
「ぅ…あー衣替えまだしてないのよ(笑)で長袖ってわけよん」
「腕。」
「はい?」

そう。怪しいということは気づいていた。目線をあわせない。いつもならすごく笑ってこちらを見るのに。見ない。なにか隠し事をしている証拠。何年もいればわかる。

「なにかくしてやがる」

俺はそういいこいつの袖を上にあげる
すると…
深い傷跡がいくつもある。

「ま、まさか」
「…ばれちゃった?さすがランランだよねー(笑)」

話を聞くと大分昔からしているらしい。愛…音?という存在がいなくなってから。初耳だ。
だが俺はこいつが自分の身体を傷つけていることが許せなかった。 
きれいなのに。正直ムカつくくらいきれいだ。なのに自分で痛めてる?…許せねぇよ。

「っっ…いっ…」
「ちょなにしてるの!?ランラン!?」

俺はなにしてんだ?羨ましいから?いや…違うあいつと同じことがしたかった。俺は腕を切っていた。

「だめだよ!もう…手当てするからね?」

嶺二はなれた手つきで手当てしてくれた。

「なんできったの?」
「…わかんねぇ。ただ…おまえと同じことがしたかった。」
「変なの(笑)」
「…俺ら頼れよ。」
「え?」
「一人じゃねぇからさ。俺ら…おまえのこと仲間としてるわけだし。守りたい」
「ありがとう。ってかそんな言葉ランランから聞けるなんておもしろ(笑)」
「てめぇっ!真剣に言ってるのに!」
「ありがとう。頼るよこれからも」

これでいい。うん。俺たちのこと頼ってくれ。
無理なときは傷つけていい。
そのときは俺も。傷つけるから。
共に歩こう。
痛みわけあってやるよ。

俺が生きている限りは。

「……わり…ぃ」
「……やだ…なんで傷つけて…ランランバカ!」
「とまんねぇな…」
「動脈付近切っちゃだめなのに!ばかっ…」
「…空は繋がってる。俺らも。……ずっと。」




「ああああああああああ!!!!!」



歌おう。
君に届くまで

歌おう。
おまえの世界に届くまで。

沈もう。
これからもずっと。

沈もう。
おまえがもう傷つけなくなるまで。

奏でよう。
二人の音を。
空から。
地から。

歌は響くから

「な。嶺二。 
ね。ランラン。」

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