AKB長編〜キズナ物語〜
□第2章〜生誕祭〜
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『お疲れしたー♪』
優斗がスタジオを後にするとたまたますれ違ったゆきりんに再度頭を下げてから劇場に向かった。
優斗の移動手段は基本的に電車、とはいえ今や劇場スタッフでありながら時の人とあってか気付かれたり声をかけられたりもするのだ。
しかし世間の注目は一向に集まるのだが、スタッフである故スケジュールや時間管理などは全て自身で把握し、判断しなくてはならないのだ。
『よっし、秋葉原…とみせかけて末広町到着…っと♪』
優斗が降りたのは秋葉原…ではなく、末広町の駅だった。
と言うのも秋葉原の駅よりは末広町の方が人通りも少なく、劇場のあるドンキホーテに近いことからであるのだ。
『はぁはぁ…秋元さん、用てなんなんすか?』
康「来てくれてありがとう、実は…今日は北原の生誕祭ってのは知っていると思うんだが。」
『知ってます、どないしたんですか?』
康「実はな…これを着てほしいとの事なんだ。」
『はぁっ!?』
優斗は声を荒げた、と言うのも康が用意した衣装はきたりえの大好きな某アニメの主人公をモチーフにした衣装だった。
実を言えば優斗を含むOceansメンバー全員はこのアニメが大嫌いであり、彼にしてみれば公開処刑に他ならないのだ。
『いや、いくら秋元さんやきたりえからのお願いでも…これは…』
康「優斗くん、これをお願いしてきたのは…横山なんだ。」
『なるほど、サプライズっちゅーやつやな。せやかて…これは…』
今回の優斗コスプレプランの言い出しっぺはゆいはんだった。仲良しのきたりえをお祝いしてあげたい建前、本音は二人をもっと親密にさせてあげたいという親友ならではの計らいなのだ。
しかしこの衣装の選択はゆいはんにとっては大誤算だった、まさかここまで毛嫌いしているとは予想だにしていなかったのだ。