SKE長編〜競馬探偵優斗〜
□〜第八話〜
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『…よし、とりあえず勝てたからこれで終わりやな…』
さかえっ娘の店内のとある一席に座っていた優斗は、携帯電話を横向きにした状態で競馬ゲームのレース映像を眺めていた。
あ「…へぇー、今スマホでこのゲーム出来るんだ♪」
『まぁーな、ってもかなり前からやからもうおれクラスになりゃ全国ランカーなんで余裕よこんなん♪』
横からあいりんが覗き込んでくると、見慣れたゲームが携帯電話でも出来ることを知るも彼からしてみれば以前から嗜んでおり、またその実績が全国でも指折りな程だと得意気に語っていたのだ。
あ「ふーん、そうなんだ。…あ、そうだチェキ撮ろうよ。それで呼びに来たんだっけ♪」
『お、そうやったっけな…よっしゃ、撮りますか♪』
あいりんは彼の自慢話を軽く流す様に聞くと、写真撮影の用件を伝えてやって来たことを話しては、優斗も二つ返事で応じると、レース中だったからか画面を付けっぱなしにして離席したのだ。
この日も二人は仲睦まじくピースサインをして体を寄せ合った写真を撮ると、優斗は先に席に戻りあいりんは撮った写真をデコレーションするための机へと向かったのだ。
『…お、亮太と玲奈ちゃん♪』
亮「よっす♪」
玲「こんにちは♪」
彼のもとにやって来た亮太とれなを迎え入れた優斗は、隣にあった空きテーブルを自分の席のテーブルとくっ付けて四人席の状態にしては、二人を向かい側の席に招き入れたのだ。
『…んで、どないしたん…二人揃っておれんとこにやって来るなんて、ええなぁリア充は…(ぼかっ!)…あいてっ!?』
あ「何よー、まるであんたはリア充じゃないみたいな言い方して。…ほら、チェキだよ。」
『ちょっ、りんりん…ちゃうねんて、今のは場が場やからそう言う言い方したっちゅうだけで…スマンて!』
優斗の迂闊な発言を彼の背後で聞いていたあいりんは、案の定と言わんばかりに痛烈な張り手を食らわせてきた。
これに優斗は慌てて釈明をするも、彼女の反応は冷徹なものになってしまいあっさりと立場が変わってしまった様を亮太とれなは二人の仲の良さと捉えては、微笑ましく眺めていたのだ。
『…はぁー、殺されるかと思ったわ…』
亮「ははっ、まぁいつもの事なんだから♪…あ、優ちゃん…そう言えばなんだけど、確かに今日玲奈ちゃんと来たのは訳があってね…」
『そうやろなとは思っとったわ、よっしゃその相談受けますわ♪』
あいりんが去った後優斗は安堵の表情を見せると、それを見た亮太は軽く笑って流しては思い出した様に彼女とやって来た理由として用件を話し始めたのだ。
と言うのも昨今亮太の職場である家庭教師教室では、生徒の成績不振による母親からのクレームが増えてきていると言うものだった。
世に言う【モンスターペアレント】によるものなのだが、亮太には今のところそう言った声が無いにしても、短期間で匙を投げる後輩が後を絶たない現状に悩んでいたのだ。
これに優斗は腕を組んで首を傾げていた、と言うのも勿論ながらこれは彼の専門外ではあるが、それを承知で相談してきたであろう亮太の意図を受け止めて聞いていたのだ。