社長と私
□06-厳しくて優しい-
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朝。
誰もいない事務所で掃除をする。
丑嶋の朝ごはんは作ってきた。
新人だからと、ここ最近は一人で来て掃除するのが日課だった。
前みたく、丑嶋と一緒に来るのが一番いいのだろうけど、新人の分際で社長と一緒に出勤というのは、新人には生意気すぎた。
ようし、完璧だ。
掃除してかいた汗を腕で拭い、一息つく。
その時、調度事務所のドアが開いた。
「あれ、真美。お前、社長と一緒じゃないの?」
『た、高田さんっ』
「…なにしてんの、お前(笑)」
笑ってる高田につられて笑う。
『あの、新人なので…事務所のお掃除でもしようかな…って』
「それは見ればわかるけどさ、社長にはちゃんと言ったの?」
『え、?言ってないです』
??
言わなければならないのか…?
私の居場所はこのブレスレットに入ってるGPSでわかるはずだけど…
手首にかかってる銀色の鎖を見つめる真美。
「あー、そうなんだ…」
『……?何かあったんですか…?』
「うん、まあ……」
少し気まずそうな高田。
真美が首を傾げた時、事務所のドアが勢いよく開いた。
「『!?』」
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