ダリア

□お誘い
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「なんで?」

「えっと....」




黒子、相手はなかなか手強いぜ。





______________


『手伝うって?』

『今日バスケ部まで連れて来てください。それだけでいいです』

『いや、お前が行けよ。お前の方が付き合い長げぇんだからお前が行けよ』

『僕が誘っても来ないと思います。火神くんは連れてくるだけでいいんで。
お願いします』

______________





連れてくるだけがぜんぜん『だけ』じゃねーんだけど?


「いや何か黒子がアンタに来てほしいっつーから....」

「はぁ....何なの? 新手の嫌がらせ?
君さ、昨日私がバスケ好きってわかってたじゃん。
もうやらないって決めた好きなことをわざわざ見に行くあほがどこにいるの?」

「....んでだよ」

「は?」

「何でバスケ好きなのにやめるわけ?
意味わかんねーよ。
バスケが好きならやればいいじゃねーか。
それじゃだめなわけ?」




またその目か。



レイはその真っ直ぐな目を直視することができなかった。



「君にはわからないよ。
だって私はただバスケが好きなわけじゃない」

「じゃあ何なんだよ」


ほんとわけわかんねー、と火神はレイを睨んだ。





「私はバスケが好きな分、バスケが大っ嫌いなんだよ」





火神がやっぱりわからないと首をひねるのを見てレイはくすりと笑った。


「だから君にはわからないって言ったでしょ。
じゃあ、そーゆことだから」


そう言って去ろうとするレイの腕を火神は掴んだ。


「待てよ。
確かにアンタの言ってることはわかんねーよ。
でも、もったいないぜ。
アンタ絶対才能あんじゃん」

「....才能があってもダメなんだよ。
誰にでも勝てるわけじゃない」

「? 何言ってんだよ。ったりめーだろ。
つーか勝てねーくらいがちょうどいいだろ!」


あぁどこまでもアイツに似てる。

勝てないくらい強い相手にきらきらした目で立ち向かうアイツ。

だからこそ、私だけでもアイツと対等にやり合えるままでいたかったのに。


「....そうだね。
でも勝たないといけなかった。」


そう、あのとき私は勝たないといけなかった。
でも負けた。
だからバスケをやめた。




なのに________



「アンタがいつのこと言ってんのかわかんねーけどいつまでもうじうじしてんじゃねーよ。
要するに強くなりゃいいんだろ。
アンタがこれ以上強くなれねーなんて誰が言った?
誰も言ってねーだろ?
ならもっと練習して強くなってまた戦えばいいだろ。
そんだけじゃねーの?」



私の決心を砕いていく。


何なのコイツ。

あーやだやだ。

あっつい男。



でも、


「負けたよ。
今日だけなら別に行ってもいいよ。」

「え、まじで!? これで黒子に顔向けできるわ。さんきゅーな!
じゃ、また放課後な」



大輝、私変なやつに会っちゃったよ。
またバスケしてもいいのかな?
大輝が楽しめなくなったバスケを....




「はは、ジョーダン。
ま、とりあえず見に行くだけだし。
バスケはやらないよ、もう....」




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