ミヤコワスレ
□帰宅
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「では、おやすみなさい」
部活後、青は結城と「俺も行く」と言った伊佐敷を連れて国立トレーニングセンターへ行った。
トレーニングをしながら自分の怪我の状態などを話し、同じ寮である伊佐敷と共に帰ってきた。
伊佐敷は青の挨拶に「あぁ」と答えて部屋に戻った。
ベッドにドカッと寝転んで伊佐敷はトレーニングセンターでの青を思い出した。
高校生にしては辛い、過去というには新しすぎる出来事を淡々と語る青。
『同情なんかしたらぶん殴りますよ。
そういうの面倒でばれないように髪色も変えたんですから。
信じてますよ、先輩』
そう言って笑った青。
"第2の兄"と言ってとても慕っていた結城にも笑い続けた青。
同情、っつーわけじゃねぇけど....
アイツ、
「いつ泣くんだ....」
伊佐敷にしては珍しい小さな声で発された疑問は答えを見つけられないまま天井へ吸い込まれていく。
あ、稲実のビデオ....
「御幸呼んでくるか」
そう言って伊佐敷は部屋から出ていった。
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