ミヤコワスレ

□1年vs先輩
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1年と先輩たちの試合、ね。



「やるぞぉー!俺はやるぞぉー!
このチャンス絶対逃してなるものかぁー!!」


隣で叫んでいる沢村の頭を「うるせぇ」と青が叩く。
それも気にせずやる気に満ち溢れて泣いている沢村に「また泣いてんのか」と声が掛かった。


御幸一也だ。


青はごくんと唾を飲み込んだ。


「よかったじゃねーか。
やっと練習に参加できるんだって?
どんな手使ったんだよ」


ニヤニヤとする御幸に沢村が怒鳴る。


「るせっ!アンタは向こうのベンチじゃねぇーのか!?あっち行けよ!」

「今日は主力はオフなの。
次の試合に勝てば関東大会も待ってるしな」

「ちぇっなんだよ…アンタと対戦出来ると思ってたのによ……」


残念がる沢村に「100年早ぇよ」と御幸は馬鹿にしたように笑った。


「つーか沢村の隣にいるやつ誰だ?」


御幸の問い掛けに話を聞き流していた青はビクッとした。


「1年マネの水城です」


青は帽子をとってペコリと頭を下げた。


こいつどっかで....


御幸は青の顔を見て眉をひそめた。


「お前....どっかで会ったことあるか?」

「....あるわけないじゃないですか。
あ、御幸先輩は有名なんで俺は一方的に知ってますけど」


笑いながらそう言うと「この人そんなに有名なのか?何かムカつく」と沢村がいじける。
御幸は何か引っ掛かったまま「ま、いっか」と沢村に向き直った。


「で、お前いつ出んの?」

「さぁ…どうせ最後だろ。あのグラサンのことだから…」

「お前先輩に対する言葉遣いと監督のことグラサン呼ばわりするのどうにかしろよ....」


沢村の答えに青が呆れたように言うと御幸は「はっはっはっ」と笑った。


「沢村のダチにしたらまともなやつなのな」

「え、俺沢村のダチだったの?
まじ心外」


冗談まじりにそう言う青に沢村がショックを受けると御幸が再び笑って言った。


「ま、そう落ち込むなって。
特別に俺がアップに付き合ってやるよ」



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