ミヤコワスレ
□初日
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「事情があって今日からマネージャーやらせてもらう水城青です。
よろしくお願いします」
高島たちと会った次の日の放課後、マネージャー同士で挨拶が始まった。
「私は3年の藤原貴子。よろしくね」
「私は2年の夏川唯。よろしく」
「私も2年で梅本幸子。よろしく!」
「私は1年の吉川春乃だよ。よろしく!
水城くんクラス一緒だよね!」
「え、まじで?
知らなかった。ごめん」
「気にしないでいいよ〜
水城くん今日初めて学校来たもんね。
男子でも選手じゃなくてマネやるんだ!」
青が「まぁ、ね」と答えると藤原がマネ陣を急かす。
「ほら、早く準備するわよ!」
「「「はい」」」
選手、ね。
あれ、何であいつだけずっと走ってんだ?
マネのやることを一通り終えると青の目線はグランドをずっと走っている少年に向けられた。
きっと監督に怒られるようなことしたんだろうな。
ご愁傷さま。
青は名前も知らない少年に心の中で手を合わせた。
そして次に凄い音を立ててミットにボールを収めているピッチャーを見た。
あいつ....北海道からわざわざ来たのか。
つーかキャッチャービビりすぎ。
「俺だったら余裕でとってやんのに」
その言葉は誰にも拾われることなく青は帽子を深く被り直した。
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