ミヤコワスレ

□序章
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「お久しぶりです」


市大三高のとの練習試合が終わって話し合っていた片岡鉄心と高島礼はその声の方へ目線を寄越した。
そこには一人の少年が立っていた。

「えっと....?」

誰かしら、と高島は戸惑った声を出す。
少年はその声にふっと笑うと「お忘れですか」と帽子を外して顔をあげる。

「あなたが俺をスカウトしに来たのに」


私が、スカウト....?


その色素の薄い小綺麗な顔を何処かで見たことがあるような気がしたが高島は少年が誰であったかまだ思い出せない。

「あれ、まだわかりませんか?
髪の毛、赤じゃ目立つと思って黒にしたのがいけなかったのかな」

そう言って苦笑いする少年に高島の顔が驚愕の表情へと変わっていく。


私がスカウトした赤い髪の少年....

「水城青....」

高島の呟きに片岡の表情も少なからず驚いた様子になる。

「思い出して頂けましたか?
では、改めまして、水城青です。
以後お見知りおきを」


そっと微笑んだ少年の髪を風がそっと撫でた。


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