グラジオラス
□マネージャー
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「鈴さー、ほとんど毎日月島たち待ってるんだからもうマネージャーになっちゃえば?暇でしょ?」
ゴールデンウィーク前日、日向がそんなことを言った。
日向たちと出会った次の日、鈴が体育館の外でずっと待っていると「健気だ!」と田中や西谷が騒ぎだし、可哀想だからと体育館の中で待っていることが許された。
「そうだな、そしたら清水も助かるべ」
冒頭の日向の意見に菅原も賛成する。
「え!?マネ増えるの!?」と騒ぎ出す田中と西谷。
「椎名が構わないならやってくれたら嬉しいよ」
澤村が「うるさい」と田中と西谷を押さえつけながら言う。
鈴が口を開こうとすると月島が来た。
「マネなんて鈴にできるわけないデショ。
ていうか、待ってるのも体育館じゃなくて図書室とか教室にしなよ。」
「あん?月島テメェ鈴ちゃんに何てこと言ってんだコラ」
田中が凄むと鈴が制した。
「いいんです。蛍ちゃんは私のことを思って言ってくれてるんです。
でも、マネージャーはやってみたいです。
足手まといになるかもしれませんから、合宿の時にやってみて邪魔になるようだったらやめます。いいですか?」
「鈴がこんなにいっぱい喋るなんて....!」と衝撃を受ける日向を含めたアホ組。
「こっちが逆に『いいですか?』だ。とりあえず合宿、よろしく」
澤村がそう言うと鈴は「ありがとうございます」と頭を下げる。
「ごめんね、蛍ちゃん。心配してくれてありがと」
鈴がそう言うと月島はチッと軽く舌打ちをして「帰るよ」と言った。
「何だあれ、感じわりーな。影山より悪い」
「何で俺と比べんだよ!日向ボゲ!」
「蛍ちゃんは、」と鈴が声を出すと動きを止める2人。
「本当に優しい」
いつもの無表情にうっすらと切なそうな表情が浮かんだ。
その綺麗な顔に全員息を呑む。
「じゃあ、失礼します」と月島を追いかける鈴はもう無表情で....
「わけあり、って感じだな」と菅原が言うと澤村も「ああ」と短く答えた。
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