グラジオラス

□バレーボール部
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烏野高校に入学した。

中学は違った幼馴染みと同じ高校。

嬉しい。



男子生徒が集団にいじめられていた。

「カッコ悪」

そう呟くと集団の一人が反応した。

「可愛い女だからって調子のんなよ」

なんて言われた。
別に可愛くもないから調子にのったりなんかできない。

でも集団の意識が男子生徒から自分に移ったのは都合がいい。

「逃げて」

そんな思いを込めて男子生徒に目配せする。
自分は表情が表れにくいから伝わるか心配だったけど大丈夫そうだった。

何か言いながら殴りかかってきた集団の一人の懐にさっと潜りみぞおちを殴る。
うっと倒れる仲間を見て「わぁぁぁ!」と数人で襲いかかってくる。
大人数に怪我をさせるわけにはいかない。
こちらからは何もせずただ攻撃を避けつづける。
私の動体視力をなめないでほしい。

騒ぎを聞き付けて教頭が来た。
「やばい」と急に静かになる集団。
どうやら優等生くんたちは集団で普段のストレスを一人に向けていたようだ。
先生から優等生への信頼は厚い。
ほとんど私が悪いようになった。

2週間の自宅謹慎となった。

幼馴染みにすごく怒られた。
私の体を心配してくれているのだ。

嬉しい。


謹慎がとけた。

同級生たちが自分を遠巻きに見てこそこそ何かを言っていた。
入学早々自宅謹慎なんかになるからだ。
自業自得。
だから気にもならない。

けど一緒にいる幼馴染みまで何か言われるのは嫌だ。
距離を置くと「何を今更」などと軽く嫌みを言われた。
幼馴染みは優しい。

昼休み、
いじめられてた男子生徒にすごく感謝された。
「カッコ悪」と呟いたら自分が絡まれただけで、別に助けたつもりはなかったからどうすればいいのか分からなかった。

とりあえず逃げた。

優しそうな先輩と目があった。
何故か笑いかけられた。



放課後、
幼馴染みの家に行けって親に言われていたのを忘れていて部活が終わるであろう時間に幼馴染みに会いに行った。

幼馴染みはバレーボール部だ。
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