短めのお話

□満月の夜
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満月の夜


潮の香り


波の音



運命なんて言葉信じてなかったあの日







私は1人国内のリゾート地のホテルにいた


長年付き合い結婚まで意識した彼氏とは

些細なことがキッカケでもう元には戻れないほど喧嘩し破局した


喧嘩期間が長くて疲れきった心を癒すために来た1人旅


何度も2人で訪れたこのホテルは

1人の淋しさを増やすばかりだった


中々寝付けなくて窓を見ると月明かりが差し込んでる

今日は満月か


私はベランダに出る


煙草に火をつけてふぅーっと吐き出すと後悔も一緒に流れ出る


違うホテルにすればよかった…




なぜこんなことになったの

ただ私はわかって欲しかった

長い歳月

何も言わなくてもお互いがわかる関係

だから彼自身が自ら気づいて欲しくて言えなかった

出張が多い彼に「淋しい」と



1人後悔と戦っていると隣の部屋のベランダに人がいることに気づいた


月明かりに照らされたその人は私の視線を感じゆっくりと顔だけをこちらに向ける



整った顔 鋭い目



何かに飢えているハンターのような肉食獣のようなその目に

私は釘付けになった
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