恋に落ちた海賊王の部屋

□─OneLove─100年先も〜
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─とある港町─








それは



船長のこの一言から
始まった








リュウガ「今日1日は
みんな自由だ〜!

各自好きに行動して
いいぞ!」












船の修理の為に
立ち寄った港町で



私達は船長から
自由時間の許可を貰った









(嬉しいなぁ〜
久しぶりの陸だぁ♪)







樽に入ったまま
海賊船に乗り込み


成り行きで
海賊の一員になって
しまってから



ずーっとずっと
毎日が海の上の生活…






たまに補給の為
港に立ち寄った時も







ナギ『美紀は船で
留守番してろ

新しい服も靴も俺が買って来てやる』





『服なら自分で買いに
行くから…』






ナギ『お前には危険な街だ

いいから、お前は
鍋の見張りでもしてろ

絶対に焦がすなよ』






『…』








…と、過保護過ぎる
ナギの絶対命令で



私だけいつも留守番



1人だけでは
船から降ろして貰えなかった








だから








「ひぃ、ふぅ、みぃ



やだ…3ヶ月ぶり!」






ヤマトを出てから見る
久しぶりの街








(…買い物に行きたいな)






1人では船から出して
貰えず


自由に買い物する機会も
無かったから


毎日皆の手伝いをする度

報酬だと言って船長が
くれた小遣いもかなり
貯まっていた









(下着とか…可愛いの
欲しいな…///)






でも…








ナギ「街に行くなら
俺と一緒だからな

先に仕込みだけ
済ませて来るから

部屋で待ってろ」








さっきナギに
そう言われたばかり







(ナギと一緒だと

下着買うの恥ずかしい)







買いたい物の
場所が場所だけに


出来れば1人で済ませたい








「…」





(別にすぐ戻って来たら
‥いいよね)






そう心の中で言い訳して


私は1人きりで街へ出た







─……*
─…*







ナギ「…なあ美紀を
見なかったか?」







皆それぞれに
下船の準備をしている中


仕込みを終えたナギが
皆に尋ねる








ハヤテ「部屋じゃねーの?」







ナギ「‥居ねぇんだ
待ってろっつ〜たのに」







ソウシ「‥変ですね

そう言えばさっきから
全然、姿を見ないよ」







ナギ「…」







ソウシ「まさか1人で
街に行ったんじゃないよね?」








ナギ「…っ!!」







心配そうに話す
ソウシの言葉を受け



ナギの顔色が一気に
険しく歪む








ナギ「まさか…あいつ」








次の瞬間




バタバタとけたたましく
船内を駆け出し




再び2人の部屋に駆け
戻ると





ガタタッ!



美紀専用の
引き出しを乱暴に開けた







ナギ「…やっぱり」





ナギの予想通り


その中にいつも有った
小さな巾着袋が無くなっていた







それは




美紀が船長から貰った
お小遣いを大事に
貯めてた袋…




それが美紀と共に
消えたと言う事は




間違い無く美紀は
勝手に1人だけで
街に行ったに違いなかった










ナギ「…あの…バカ!」







頭のバンダナを
クシャリとムシり取り




鬼の形相で
部屋から飛び出すナギ






再びバタバタと
船内を駆ける先に


美紀を心配して
甲板に集まってる皆の
姿が有った








ハヤテ「ナギ兄、アイツ
居たのか?」






ナギ「話は後だっ!!」






ハヤテ「えっ!?ナギ兄」








皆の間をすり抜け


風のような速さで
船から降りて行くナギ





あっという間に
その姿は港の人混みに紛れ


船からは見えなくなった








取り残されたように


ナギの背中を見送る
ハヤテ達









ハヤテ「…すげー速さ

もう全然
見えなくなったよ」








話を間もなく


一目散に駆け出し
街へ向かったナギ…






普段の武骨なナギからは
想像もつかない行動と


その異常な慌て方に
驚いていると





甲板のヘリに手を着き
港を見下ろすソウシが
ポツリと呟く







ソウシ「愛は人をああも
変えるんですよ」








ハヤテ「あ、愛〜っ///」






トワ「えっ!?2人はその…

こ、恋人なんですか」





シン「…さぁな

ナギのあの様子じゃ
無関係てのはねぇだろが


美紀は間違い無く
まだ処女だろうから

ナギの奴は意外と
甲斐性無しだな」







ハヤテ「なっ////!!!」




トワ「うわぁ///」







ソウシ「こらこら…シン」





シン「フン」







ハヤテ「…あのナギ兄が
あああ‥愛///」







そりゃ確かに
ずーっと同じ部屋で
寝泊まりしてて


四六時中
一緒に過ごしてるから



2人はいつの間にか
いい感じに纏まっていたけど




普段はあまり
甘い雰囲気を感じさせない分



愛、とか…




無骨なナギには
似合わな過ぎるフレーズ







全員「…」






いつもムスッとした
強面のあのナギが



夜、部屋で2人きりに
なった時


美紀に向かって甘い言葉を囁く姿を
一斉に想像し







全員「…ププッ!!」







思わず
吹き出す一同…









シン「…だけど」







不意にシンが
街の方を見て口を開く







シン「あの街は…
一見穏やかだが…

やたらタチの悪い
人買いがウヨウヨ居る
らしいからな…」








ソウシ「…そうだね」








決して若い女が
1人でうろついて
いい街じゃない






だから




自由行動と言われながら
まだ皆が船に残って
居たのは



本当は皆で美紀を
守りながら


1日一緒に行動する
つもりで居たからだった









ハヤテ「…そうだった!

俺達も早く追いかけ
ようぜ」







トワ「はいっ!」








ハヤテとトワが
顔を見合わせると

2人一緒に船を飛び出す








シン「…船長は?」






続けてその後を追う
ソウシにシンが問いかけると



ハァと溜め息を吐き
ソウシが呟いた







ソウシ「…あ〜…また
例の場所に行かれたんでしょうね

まったく…」





シン「例…ああ。

また例の場所か」










船長が街に寄ったら
必ず向かうのは






‥─娼館─







ソウシ(またありったけの
宝を巻き上げられて
来るのかも…)






取りあえず
美紀を見つけたら



今度は船長を確保しに
行くか…と




そう呟きながら
2人も街に向かった









─……*
─…*






─その頃




船内での
そんなやり取りを
全然知らず




私は1人
久しぶりの賑やかな
街中に居た








「わー凄い人…」








*
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