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□可哀想
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アタシ今ね、好きな子がいるのよ。
…男の子?
そのつもりだったんだけど。
気づいたらドハマりしててね?
ホント、気の迷いだって信じたいわ。








「名無し♡」

佇む後ろ姿に声をかけると、名無しが振り向いた。

「ニコ!」

嬉しそうに笑うとこちらへ駆け寄り
、飛びついてきた名無しに人懐っこい笑顔で見上げられる。
どうしよう何この子丸呑みにしたい。
冷静かつ素直に思考を巡らせながら、
隣へと身を移す。

名無しと秘密の相談会。
女子会っていうのかしら?
これはアタシの大好きな時間。

「あのねニコ!聞いて!今日はね〜、エトちゃんと鬼ごっこしたの!楽しかった!」

無邪気に話すアナタが好き。
幼い笑顔も、可愛い声も、
ありのままのアナタが愛しくて。
胸がドキドキするの。


うんうんと答えていたつもりが黙ってしまったようで、不安げに顔を覗き込まれる。

「ニコ〜?」

馬鹿ね。
アタシはただのお友達。
その一線は超えられないの。

わかってるわよォ、そんなこと。

「名無し」

「んー?」

禁断の果実?アタシは唆るわ。
けど、こればっかりは踏み切れない。
追放されるのはごめんよ。

「好きよ」

友達として、そんな言葉で隠して。

「アンタが、好き」

全部全部、隠すのよ。






「…っへ…」

飛び込んできたのは、アンタの赤い顔。
林檎みたいに真っ赤になった、頬。


(なんで、そんな、それじゃ…っまるで)



まるで、アタシとおんなじみたいじゃないのよ。

狡い、狡いわ。








自惚れてしまいそう。

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