太陽と月

□01.出会ったのは
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朝起きて、洗面所へ向かう途中に前に歩く人を見つけた。

『あ、ペンギンさぁぁぁんん!
おはようございます!!』

「‥‥ひなたか、おはよう。」

あたしの声に驚いたのかペンギンさんは肩をビクリとさせ、後ろを振り返った。


「そんな大声で叫ばなくても聞こえるぞ」

『あれペンギンさん朝は弱い方なんですか。元気ないですねぇ』

「お前は変わらず朝から元気だな」

『へっへー!それが取り柄ですから!』


そうドヤ顔で言えば、ペンギンさんは呆れたような顔をしたが、その瞳は以前のような冷たさはなく優しくて。つい嬉しさで頬がゆるんでしまう。


そうなのです。
怪我したペンギンさんを手当てしたあの日から、何故か優しくなったペンギンさんと打ち解け、最近では会うたびに何か話すようになった。
あたしのどうでもいいくだらない話にも笑ってくれるペンギンさん。なんて優しい。


『あ、ベポおはよ〜!あと、シャチも』

「ひなた、ペンギンおはよ!」

ペンギンさんと食堂へ行くと、すでに座っているシャチとベポに会った。

「ひなた、お前!俺をオマケみてぇに言うな!」

『細かいなぁ‥ついでにシャチおはよう』
「ついでにが聞こえてんだよ!ワザとだろお前っ‼」
『えっ、そう言ってほしかったんじゃないの!!?』
「その心底驚いたような顔すんのやめろ!
俺はMか!」


シャチをからかっていると、「とりあえず混む前にご飯取り行くぞ」と、ペンギンさんに言われ大人しく着いていくことにした。

‥やっぱりペンギンさんは朝弱いんだね。不機嫌だった。
「いつまで騒いでるんだ」ってオーラが伝わってきた。


横に並んで歩くあたし達の後ろ姿を見て、

「‥あいつらいつのまに仲良くなったんだ‥?」

と、シャチが呟いていたのは気づかなかった。



「雑用、様になってんな」

『あ、船長さんー。おそようです!』

ご飯を食べ終え、洗濯を干していたら起きたばかりらしい船長さんが話しかけてきた。

船長さんの皮肉に皮肉でそう返せば、ちっ、と舌打ちされた。

「てめーが起きんの早すぎんだよ。毎朝何時に起きてんだ。」

『えっ、5時ですけど。』

「‥早すぎだ、アホ。ニワトリかなんかかてめぇは。」

『いやいや、早く起きないと時間もったないじゃないですかー!眠くなるから、その変わりに早く寝ますけどね』

「大体、9時には寝ますよー」と付け加えたら、呆れたような顔をされた。

「さすがお子さまだな。どうりで夜は静かな訳だ。」

『あれれー、まるであたしがいるとうるさいみたいに聞こえますけど!』

「そうだって言ってんだよ。」

ああだこうだ、と船長さんと言い合いをするのも最近ではよくするようになった。まぁ、こうやって船長さんがバカにしてきてそれに反抗するみたいなのだけど。


最初こそ船長さんは怖い顔して睨みつけてきたのに、今ではたまにだけど、呆れたような、バカにしたような感じではあるけど、口角を少し上げて笑ってくれることがある。


だからまぁ、意外とこういうのも悪くないんだよなぁ、と思う。


ーーーと、そう思ってたのになぁ。



「島が見えたぞー!!」


‥‥‥‥え?


その言葉に、思わず洗濯を干す手がピタリと止まる。

ーあぁ、この時が来てしまった。
そっか、もう島に着くのか。


島に着くということは‥ー


この時考え込むあたしは船長さんがじっと見ていたことに気がつかなかった。


島に上陸
それは同時に別れの知らせ


(なんだかんだ楽しかったなぁ)
(だけど、)
(それももうおしまい)
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