太陽と月

□01.出会ったのは
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「死にたくなかったら、大人しく部屋にいるんだな」

船長さんのその言葉に必死に首を縦に振った。


それは数分前に遡る。


ベポやシャチとお昼ご飯を食べていたら、


「敵船だーーー‼‼」


突然、食堂のドアが荒々しく開けられ、大声で叫ばれたその言葉に一瞬頭がフリーズした。


『‥‥‥テキセン?おいしい食べ物かなんか?聞いたことないなぁ。』

「悪いけど、今はお前のボケに乗ってる場合じゃねぇんだわ」

後で構ってやるからな、と勝手なことを言い放ったシャチは食堂から出て行ってしまった。

「ひなたは、危ないからお部屋にいるんだよ?」

『え?え?ベポまで?』

珍しく「わかった?」と、強めの口調のベポはあたしが頷くのを見るとシャチの後へと続いて行ってしまった。

ほかの皆も慌ただしく食堂へ出て行く。ぽかんと席に座るあたしに「隠れてろよー」「死ぬなよー」など、途中物騒な事を言ってく人達もいた。

あれだけ賑やかだった食堂も静かになり、あっという間にぽつんと1人残されたあたしは、訳がわからずパニックだ。

一体みんなは何をそんなに勢いよく出ていったのか。


《ひなたは、危ないからお部屋にいるんだよ》

とベポに言われたことを思い出し訳がわからないまま、食堂から出て部屋に向かうことにした。



「そんなとこでフラフラしてると、撃たれんぞ」

部屋に向かう途中、
後ろから声を掛けられ振り向くと船長さんが立っていた。

『え"。撃たれる!?』

「敵船が来たっつたろ」

『えっ!食べ物かなんかじゃないの?』

「なに寝ぼけたこと言ってやがる。他の海賊船が見えたから、戦うんだよ」

『え。たたたた戦うって!そっちの敵船か!!』

「さっきからそう言ってんだろ。わかったなら、さっさと大人しく部屋に入ってるんだな。」

『はい!もっちろん大人しくしますてかそうさせてもらわないと困るので!!』


「死にたくなけりゃな」となんとも物騒な言葉を付け加えた彼は、あたしの横を通り過ぎていった。

マッハの勢いで自分の部屋に閉じこもり、へにゃへにゃと地面に座り込む。

なるほど。
敵船かー‥
戦うのかー‥

食堂から勢いよく出ていった、シャチもベポもほかの皆も、真剣な顔をしていたけど、どこか楽しそうというか、いきいきとした顔をしていた。

彼らは海賊だから、戦うのは珍しくもないだろうし、それが本来の姿なのだろう。


‥ど、どうやって戦うのだろうか。
シャチはヘマしてすっ転んでそうだし、ましてやベポなんてあんな可愛いらしい容姿から戦う姿なんて想像できない。
まあ、船長さんやペンギンさんは想像しなくても強そうなのが目に浮かぶ。というか睨みや必殺氷点下オーラで敵を圧倒できそう。


‥正直、気になって仕方ない。戦ってるところを見たいと言われればそりゃあ是非とも覗いてもみたい。だけど、


ーバンッ!

ードォォンッ!!


度々なる音にビクリと肩が揺れる。こんなの音を聞くだけで、心臓に悪いし、銃声の音を聞いた時なんかは危うく意識を失いかけた。音だけでもこんなビビっているあたしが戦いを見に行くなんて、寿命を縮めるだけだから。


こんなヒヤヒヤした状況
早く戦いが終わってほしいな、と思うのと、同時に

願うならば
彼らが大怪我してませんように


(よし、宝奪ってズラかるぞ!)
(よっしゃー!完全勝利だー‼)
(今日の晩は宴だー‼)
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