太陽と月

□01.出会ったのは
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ごしごし、

バシャッ


大きめのブラシを握り、それで甲板を擦って、水をかける。

もはやこの道のプロと言っていいほど甲板掃除のスキルを身につけたあたし。そうなのです。
あれから二週間経ちました。


二週間も経てば色々と変化も起こる訳で。

「おー、ひなた今日も頑張ってんなー」
「いつも悪いなひなた」


そう。なんとこの船の人達があたしの名前を呼んでくれるようになったのです!

最初は「土下座ねーちゃん」だの「土下座ッ子」だのとにかく土下座が着くあだ名だったのが、最近では土下座なしの名前を呼んでくれます!うふふふ。


これは嬉しい変化だよね!


それとあとは、最近お風呂がゆっくり入れるようになったのです!

どういうことかと言いますと‥


数日前、呼び出しをくらったあたしは船長室に来ていた。

「風呂のことだが、」

も、もしかして勝手にお仲間の人達のは、裸を見てしまったことがバレたのだろうか‥(いや不可抗力だよ⁉あたしにそんな趣味ないからね‼)

「うちの連中が前に服を脱いでいたら、脱衣所に入ったお前と鉢合わせしたと言ってた」

『や、やっぱりそのことですか‥』

くっ、バレてたか‥!!
いや、でもしかし!た、確かに見てはしまったけど!で、でも決してその!

『だ、大事な部分はちょうど物置のおかげで見てません!!』

「‥あ?」


必死にあたしは無罪だと告げる。ここは重要だよね!

『それに、わざとじゃないですし!たっまたまですよ!?』

「‥お前、何言ってんだ」


そう言い、なぜか呆れたような顔をしている彼に「へ?」と首を傾げる。あれ、もしかして怒ってない‥?

「あれだけ人数もいりゃあ鉢合わせしちまうのは仕方ねぇだろ。お前が謝る必要も慌てる必要もねぇ」

『‥え、あ、ほうほう‥』

「他の奴らが"また鉢合わせしないかと、ビクビクしながら入るのは可哀想だから、なんとかしてやってくれ"って言われた。」

『え?可哀想?だれが?』


「てめぇがだよ」と、終局呆れたような顔でピシリと言われた。

『‥‥‥』

確かに鉢合わせしないように夜遅く、皆がお風呂に入り終えたであろう時間を見計らって入って、万が一のことも考えマッハでお風呂に入って部屋に戻っている。

でも、まあそれは居候させてもらっている身としては仕方ないことなのに。

それを他の人達が気を遣って、船長さんに言ってくれたなんて。


‥なんて、優しい人達なのだろう。

「おい」

『優しいですね‥この船の人達。』

正直、パッと見、厳ついけど。

「あぁ、そうだな」

あたしの言葉にフッと笑う船長さん。その顔を見て本当にこの船員さん達が大切なんだな、と思った。

「まあ、今回は配慮が足りなかった。次から鉢合わせしねぇようにしてやる」

『‥へ。ほんとですか?』

「まぁ、このまま鉢合わせするかしないかスリルを楽しみてぇ変態なら、別だが」

『いえ、あたしは変態でもなんでもない普通の女子なので!ぜひともお願いしたいです!!』


船長さんは「そうか、それは残念だな」とフッとバカにしたように笑う。

「次からは俺の部屋にあるシャワー室を使え。」

『え‥あ、いいんですか?』

「あぁ。仕方ねぇ。」


シャワー室貸してくれるなんてあら意外とこの人太っ腹なのね。と見ていたら

「てめぇ失礼なこと考えてんだろ」とギロリと睨まれたから、慌てて目を逸らした。


ーーー


と、こんな事があって、有難くシャワー室を借りていますのです。


そんなことを考えていたら、一通り掃除が終わり綺麗になった甲板を満足げにみる。

終わったー、と伸びをすると
ドクロが描かれた旗が風になびいているのが視界にうつってきた。


『ねぇ、シャチー。前から思ってたけど、あの旗ってなに??』

たまたま通りかかったシャチを捕まえ聞いてみると、

「なんだ知らないのか?あれは海賊旗だぞ」と少し驚いたように言った後、説明をし出した。


「海賊旗はなー、自分たちが海賊だってことを主張するためのシンボルみてぇなやつかな」

『えっ、誰が海賊なの?』

「俺たちに決まってんだろ!」

『へっ、漁師じゃないの?』

「えっ、誰が漁師なんだ?」

『シャチ達だよ!!』

『「‥‥‥‥は?」』


噛み合わない会話に顔を互いに見合わせる。


「‥お前、もしかして俺たちが海賊だって知らなかったのか?」

『‥し、知らない‥よ』

海賊旗かざして刀をもつ漁師なんて
いるわけない

(‥って、ええええぇぇぇぇぇ!海賊!??)
(うっせぇぇ!耳元で叫ぶな!)

ーバタン

(っておい、大丈夫かひなたー!?)
(ひなたが気絶したーー!!)
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