太陽と月
□01.出会ったのは
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『‥‥朝かぁ‥』
部屋に差し込む光に目を覚まし、ふわぁぁと欠伸をする。
‥今日何曜日だっけ
何の授業だったかなぁ。とりあえず起きて予定表確認するか。
そう考えながら目をこすり目を開けた。
‥‥‥
‥‥‥
もう一度目をこすってみる。
‥‥‥
『‥‥あれ?ここ、どこ‥』
辺りを見渡すといつもの見慣れたあたしのお部屋ではなく、カーテン一など物がなく殺風景とした部屋は、壁、床、そして敷布団、何もかも明らかに今まで過ごしていたあたしの部屋とは似てもにつかない。
え?え?え?
寝起きでぼんやりした頭をフル回転させ、記憶を思い起こす。
《てめぇは何者だ?》
《約束通り次の島まで乗せてやる》
《聞いてるのか土下座女》
脳裏に思い起こされる光景に、一気に目が冴えた。
『そうだ‥‥‥あたし、異世界にトリップ?しちゃったんだった』
昨日、こんな状況で寝れるか心配になったのだが、布団に入ってからの記憶がないから、きっと数分で寝たのだろう。
なんて図太い神経してるんだ、あたし。何処でもいつでも寝れるのがあたしの長所だったのだがここまでとは。
苦笑をこぼし、起き上がる。
隅っこに畳んだ布団を起き、
部屋から出ると、白熊さんの姿が見えた。
「あ、ひなたおはよう。早いね?」
「まだゆっくり寝ててよかったのに」と笑うベポちゃんからマイナスイオンが今朝から出まくってます。
『だいじょーぶ。あたし、いつも早起き派だから!』
「そっかぁ。一緒だね!」
そう言ってまたニコニコ笑うベポにあたしもつい笑顔になる。
朝食を終えたあたしはペンギンさんからの指示をもらうために、ベポから彼のいる場所聞き、操縦室とやらに来た。
コンコン、
『失礼しまーす。ペンギンさんいますか?』
ひょい、と顔だけ出してキョロキョロ辺りを見ると、後ろを振り返ったペンギンがあたしに気づき近づいてきた。
『あ、ペンギンさん。おはようございます。』
「あぁ。というか、お前ノックの意味わかってないだろ。」
『‥へ?どういうことですか?』
「‥‥何でもない。気にするな」
「それで用はなんだ?」と問われ、「今日は何をしたらいいのか」と聞いた。
「あぁ、とりあえず洗濯干しと風呂場の掃除を頼む」
甲板で待っててくれ。すぐ向かうと付け加えて、再び作業に入った、ペンギンさんに返事をし、ドアを閉めた。
この船の航海士という役を担っている彼はいつも忙しそうなのだが、決まってあたしが何か指示を受けやる時は付いてくれる。忙しいためずっとは付いていないけど。
やり方を教えるためというのもあると思うが、
たぶんあたしが何か企んでないか監視するためなのかなぁ、となんとなく感じる。
たまに、突き刺さるような視線を感じる時もあるし、大抵あたしに接している時の彼の纏う空気が冷たいから。それはまるで氷点下オーラのようだ。‥ペンギンだけに
きっと冷静でしっかりしているペンギンさんだから、船長さんはあたしを彼に任せたのかと思う。
‥まぁ、気にしないけどね!
厳しい鬼教官にでも見張られてると思えばなんてことないのだ!たぶん!いや、そう思わないとメンタルやられちゃう。
ペンギンさんは洗濯機から持ってきた洗濯物を渡したあと、忙しいらしくまた操縦室に戻っていった。
洗濯物を干していると、起きてきた人達と何人か会い、
「おっ、土下座ねーちゃん、がんばれよー」と声をかけてもらった。なるほど。彼らの中ではあたし=土下座となってしまっているらしい。
洗濯物のほとんどは同じオレンジ色のツナギで。今日またみんな同じものを着ているということはみんなそれぞれ何枚か持っているらしい。
なんかこれだけたくさんのしかも同じ服を干していると、自分がクリーニング屋さんの人になったみたいで、楽しくなってきて自然と鼻歌が出る。
『ふんふふ〜ん♪』
「おーっす、ひなた!やけに楽しそうだなー」
『シャチおはよ!なんか洗濯干しって楽しいなって思ったんだうん。』
「そっか、いいよなーお前は楽しそうで」
『どういうことだいシャチくん』
「やー、そのまんまだ!がんばれよーいつでも楽しそうな土下座女子!」
そう言ってケタケタ笑って走っていった背中に洗濯籠を投げつけてやろうかと思った。
彼はおちょくりに来ただけだった。よーし、覚えとけよ。
いつも楽しそうなんて、
ほんとにそうだったらいいのにな
(百面相しすぎだな)
(キャプテン珍しく今日起きるの早いですね)
(あのアホが騒がしくて目が覚めちまった)
二階のデッキで一部始終を見ていたキャプテンでした。