太陽と月
□01.出会ったのは
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「しばらくお前にはここで寝てもらう。」
船長室を出てペンギンさんに連れてこられたのは、奥にある部屋だった。
「ここは元々、空き部屋だったから好きに使ってくれて構わない。」
『あ、はい。ありがとうございます』
まさかあたしの部屋を用意してくれたなんてびっくりした。てっきり、寝袋か、最悪甲板の上で寝るのかと思ってたから。
部屋に入ると空き部屋だったためか、あるのは樽と布団だけだった。
ペンギンさんが出ていった後、その場にへにゃりと座り込む。ああ、疲れた。
さっきまでは掃除やら洗濯とか忙しくて考える暇がなかったけど、今こうして落ち着くと、
なんなんだ、この状況
え、ほんとに何これ。わたし何してんの。ていうかここどこ。
どうしてこうなった。あぁ、全く意味がわからない。
さっきまで図書館にいたのに、なんで今、船の上にいるの?
考えても一向に分からない状況に泣きたくなってきた。
いや、一粒も涙は出てこないんだけど。あたしの瞳は乾燥したままだけど。強いなあたし。
でも一つわかったことがある。
それはおそらくあたしは別の世界に来てしまったのだと言うことだ。
食事中にシャチやベポにさりげなくここはどこだと聞いてみたら、"グランドライン"だとか知らない単語を聞き、逆にじゃあ日本は近いのかと聞いてみたら「ニホン?」と今度はシャチ達が首を傾げてしまう。他の国の名前や海の名前を言っても首を傾げるばかり。
さすがに、これ以上質問責めは怪しまれると思い、慌てて他の話題に変えたが、あたしの頭の中はパニック状態で正直何を話したか覚えていない。
まだはっきり決まった訳ではないが、たぶんいわゆる異世界トリップしてしまったのではなかろうか‥と。
意外に冷静なのは、きっと訳のわからないことばかりが起きて、現実を受け止めざるを得ないからかもしれない。
溜め息をそっとつき、かろうじて動いている時計を見ると、現在8時だ。
とりあえず気分転換
お風呂へ入ろう
(よし、おっふろ〜!)
ーガラッ
((‥‥お?))
(‥いぎゃあぁぁぁすいません何も見てません失礼しましたぁぁ!!)
脱衣所を開けたら、素っ裸の男の人達( ;´Д`)共同のお風呂だと忘れていたひなたちゃんでした。