太陽と月

□01.出会ったのは
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ーそして現在、


「てめぇは何者だ?」


あの後、帽子の人の悲鳴を駆けつけ、同じようにオレンジ色のつなぎを着たたくさんの人がわたしの周りへと集まってきた。

気付いたときには身体を縄で縛られていて、今この状態にあります‥‥


5秒以内に答えなかったらバラして海に捨てる、というわたしにとってきっと死を表すカウントダウンをし出す。

は、はは早く何かこの状況を脱しなければ‥ヤられる!殺される!


ふと、ピーンと頭に浮かんだ、ある方法。‥もしかしたら助かるかもしれない!


『すいませんでしたぁぁ!!!』


ゴンッ!!


わたしは土下座をして謝罪した。でも思い出してみよう。わたしは縄で両手を縛られていた!みんな知ってるかな?土下座するときは両手を使わないと顔面から地面にダイブしてしまうのだよ。わたし?わたしは知らなかったから、思いっきり額をぶつけてしまったよ!


ひなたは顔面を犠牲にし、土下座の仕方を覚えた!


「‥‥‥‥‥謝るっつーことは何かしたのか」



一瞬、沈黙した後、何事もなかったかのように問う男。スルーかよ!すごいスルースキルの持ち主だ。まあいいけどね!っていうか顔が上げられません。助けて。


今、わたしの状態は、
後ろで両手を縛られ、正座をしたまま身体を折り曲げて地面へと顔面ダイブした状態。顔面痛い‥。


「‥‥‥おい聞いてんのか」


何かしたのか、と問う男。
それはこっちの台詞だい!!こんないたいけな少女を縛りあげて、一体わたしがなにをしたっていうのか!‥とは思いつつも、口には出さない。うう、チキンだなわたし。

『あ、あの‥』

「顔を上げてしゃべろ。ふざけてんのか」


決してふざけてません。
ただ身動きがとれないからです。お願い察して


すると、誰かそばにいた人が「せ、船長、縛られてて顔を上げれないんじゃ」と助け舟をくれた。
そうなの!察してくれてありがとう!


すると、男はチッと盛大な舌打ちをした後、「顔を上げるの手伝ってやれ」と誰かに言い、支えてもらってわたしはようやく顔を上げれた。


ああ、やっと地面とおさらばだよ!危うく地面と親友になるところだった。


「で?お前は何かしたのか」

『いいえ、何もしてません。』

「じゃあなぜ謝った」

『謝っとけばとりあえず済むかとぉぉぉっ!!!あっ、あああぶ危ない首が吹っ飛ぶ!!!!』


そう言ったら刀を首ギリギリまで押し当てられ、ヒヤリとした。こ、怖いよう。


「‥質問を変える。お前はどうやってこの船に乗った?」

『わ、わかりません‥。気づいたらここにいたんです!』

「気づいたらいた、だぁ?そんなふざけた言葉誰が信じる。」


だって当の本人のわたしですら、わからないんだもの。わたしだって聞きたいのに。だからお願いだから、刀を動かさないで!!


「能力者か?」


ああ、地面と親友になれる能力?


って失礼だな!ってかまだ親友になってないわ!なる手前だったわ!‥じゃないよね、そろそろ真面目に考えないとマジでヤバイ。


『わ、わたしはいたって普通の人です‥』

能力者って超能力のことかな。空飛べるだとか、人の心読めるだとか。それだったらわたしは普通の人ですとも。ええ。


「‥もういい。で、お前はどうしたいんだ?」

『どうしたいって‥』


まずは生きたい


切実な願いだよね。うん。



『え、あの‥見逃してくれるんですか?』

「返答次第でな。場合によっては海に捨てる」


こ、これは本当にわたしの人生が決まりそうだぞ。さすがに泳ぐのが得意でもこんな広い海に捨てられでもしたら、確実にヤバイ。



この人達の事全く知らないし
正直オーラとか怖い
そもそもここがどこなのかもわからなくて不安しかない

だけど
唯一分かることは、このまま船に乗らせてもらわなければ、私は確実に海の藻くずと化するということだ。

なら、


「洗濯でも掃除でも家事でも何でもします!!望みことなら何でも!!なのでどうか次の島まで乗せてやって下さい!」

今の私ができることなんて、奴隷くらいだろう。
よ、よしよく噛まずに言えたなわたし。偉いぞ。


「‥ほう、なんでもか。いい、乗せてやる。」

男は少し意外そうに眉を上げてそう言った。
ほ、ほんとですか。よかった。

『ありがとうございます‥!』


なんとか取り敢えずは生きられそうです。


土下座の仕方
土下座は両手を使わないとね。


(船長いいんですか)
(あぁ、取り敢えずな。こんなアホな女ごときにこの船はやられねぇから大丈夫だ)
(え、なんか複雑‥)




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