蝶のようにふわりと

□4.
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「まったく、まったく、あのオランウータンめ。船を破壊してくれやがって」

イライラしたように、トンカチを持ちメリー号を直すのはウソップ。


一味はモンブランクリケットという、夢を語る男が住んでいる場所を目指し船を進めていた。

しかしその途中、ここらは自分達の縄張りだと言うまるでオランウータンみたいな顔をした男の乗る船に出くわした。男はマイクを持ち雄叫びを挙げ出して、その声でメリー号を破壊しようとしてきた。このままでは破壊されると一味は男の乗る船から逃げたのであった。

上手く逃げれたのはいいが、少しメリー号が破壊されたため、ウソップはこうしてブツブツと言いながら修理をしている。


「気がつけばこの船もボロボロだな。替え時か?」
「勝手な事言ってんじゃねぇよてめぇまで!!」


ウソップの後ろで怠そうにマストを修理するゾロがボソリと言った事に対しウソップが噛みつく。


「この船がどういう経緯で手に入ったのかおめぇが知らねぇ訳ねぇだろうが!!」
「わかってるよ、ウソップ。文句言っても仕方ねぇ、メリー号も俺たちの大切な仲間なんだ。頑張って俺たちで直してやろうぜ」
「ルフィ‥おめぇってやつは‥!」


そんなウソップを宥めるかのように言ったルフィは珍しく良い事を言う、と感動した矢先、


バキッ


トンカチを振り下ろす力が強すぎたのか、そんな大きな音をたてて壊してしまう。

「あ、」
「てめぇ〜!!直してんのか壊してんのかどっちだ!!!」
「や、直す気満々なんだけどよ‥‥あ。」


バリッ


「壊れた。」
「ルフィ!!!!」


次々と直していくどころか壊していくルフィに怒鳴るウソップ。


『おー、ウソップが珍しくキレてる。そんなに大事な船なんだ?』
「ウソップの大切な幼なじみの女の子から貰った船なのよ。」


その様子を見ていた名無しさんが言うと近くにいたナミがそう答えた。


『そっかー、それは大切にしなきゃだね。よし、ウソップあたしも手伝うよ。』

トンカチを手にした名無しさんがウソップの近くまで行き、そう言う。


「手伝ってくれるのか?」
「おっ、ようやく名無しさんも俺たちの仲間になる気になったのか!」
『なってません!勝手な事言うな!ただあたしも乗せてもらってる身だから直そうと思って。それににこの船、かわいくて好きだよあたし。』
「名無しさん‥お前、いいやつだな‥」


何故か勝手に仲間になると解釈し嬉しそうに駆け寄ってきたルフィを押しのけ、そう笑顔で言った名無しさんの言葉に感動するウソップ。


『よーし、今から直すからね、メリーちゃん!』


そう意気込んでトンカチを持った名無しさん。木の板に釘を打ち込もうトンカチを振り下ろしたら、


『いった!!』


バキッ!!


釘を持つ指にトンカチが当たってしまい、思わず痛みでポーンと投げたトンカチがちょうど壊れている部分にあたり、思いっきり壊れてしまった。

「ぎゃああぁぁぁぁ!!何してくれてんだお前まで!!」
『ご、ごめんごめん。だって痛かったんだもん。よいしょ、っと。』


バコッ!


次こそはと、トンカチを振り下ろす名無しさんだが、再び指を挟さみ、トンカチを投げて壊してしまう。

『いった!何あのトンカチ!ふざけんな!!』
「いや、お前がふざけんなだわ!!」
「あっはっはっ!名無しさん、ドジだなー。」
「てめぇは何笑ってんだこら!!」


お前らはもうやらんでいい!とウソップは破壊コンビからトンカチを取り上げると、「なにすんだ!」「せっかく直そうと思ったのに‥」「直してるどころか壊してるじゃねぇか!」
ギャーギャーと騒ぎ始める三人。


「あいつら何やってんの‥」
「ふふ、元気な人たちね」


そんな光景を見て呆れたように言うナミと、楽しそうに微笑むロビンであった。
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