蝶のようにふわりと
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名無しさんが船に乗ってから数日が経ったある日。
甲板で昼寝をしていた名無しさんを起こそうとルフィが近づく。
「おい名無しさん、起きろ〜」
ゆさゆさと体を揺すられ、うっすら瞼を開けた名無しさんは昼寝を邪魔され少し不機嫌そうな顔をする。
『‥もうなに、ルフィ』
「ししし、起きたっ!なぁ名無しさん、
かくれんぼしよーぜ!」
『かくれんぼ‥?』
寝起きなため舌たらずな声で言う名無しさんにルフィはにししと笑う。
「ウソップとチョッパーもやるってよ!一緒にやろう名無しさん!」
『‥‥‥』
「名無しさん!起きろ〜』
『‥うん、やるやる。やります。どれどれ‥』
やると言ったものの、よほど眠いのか一行に寝転がったまま動こうとしない名無しさん。
痺れを切らしたルフィが無理やり名無しさんをずるずると引っ張り、チョッパーとウソップの元に連れて行き声を張り上げる。
「おーい、チョッパーにウソップ!名無しさん連れてきたぞ〜!」
「おお、連れてきたかって‥名無しさん寝てんじゃねぇか!」
引きずってきた名無しさんは、ルフィの足元でぐうぐう寝ており、ウソップとチョッパーが驚く。ルフィはしゃがみ込み名無しさんの肩を揺さぶる。
「おい名無しさん起きろって!」
『‥おきてるおきてる』
「ほんとに起きてんのか?」
『うん』
「‥‥名無しさんー、一緒に海賊になるか?」
『うん』
ウソップ達は駄目だこりゃと顔を見合わせたが、
『‥‥‥ってならんわ!!』
名無しさんはガバッと起き上がりそう叫んだ。
「「あ、起きた」」
『危ない危ない‥全く油断も隙もないんだから!』
「ちぇー、なんだよ名無しさん海賊にならねぇのか?」
『ならないって言ってるでしょー!』
「名無しさんのやつ完全に起きたな。」
「だな。名無しさん、相当海賊になりたくないのかな」
ルフィとぎゃあぎゃあ言い合いを始める名無しさんを見てウソップとチョッパーが言う。