扉の向こうに

□探検しましょう
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ーナミside


朝食を終えあたし達は、ひなたの家の中を歩き、落ちてきた穴がないか探し回っていた。


「それにしても、あんたの家ほんに大きいわねー」


ひなたの家は、すごく広く、部屋の数もたくさんある。


『ほかの家に比べたら、確かにちょっと大きいのかな』


"ひなたの部屋"と、書かれたプレートが掛かった部屋に入ると、ぬいぐるみがたくさん置いてあった。


「あ、これひなた?」


机には、まだ幼いひなたらしき子どもがあどけない顔で無邪気に笑っている写真が飾ってある。


『うん。たぶんあたしが8歳の時の写真』

「周りにいるのは家族?」


ひなたのほかに、二人の大人と少女が写っている。


『うん!お母さんとお父さんと、5歳の妹だよ』


「そっか。素敵な家族じゃない。
こんなに大きな家なんだから、家族と一緒に住めばいいじゃない?」

あたしは疑問に思い聞いたが、
しかし、ひなたの口から出た言葉は思いもよらぬものだった。


ひなたはあたしから写真へと、視線を落として口を開く。


ーー『あたしの家族、もういないんだ。お父さんもお母さんも妹も、みんな死んじゃったの。』


ーーえ?
あたしは言葉を失ってしまった。


まさか、だってそんなことがあったなんて。


まだひなたとは出会ったばかりだけど、彼女は明るくて元気な性格だとわかってきていた。


サンジくんの料理を食べてる時はなんて、あんなに笑っていたのに。


ひなたにそんな辛い事があったなんて。


じゃあ、ずっとひなたは1人で?


『それまではこの家で家族みんな一緒に住んでたんだ』

「‥言っていいのか、わかんないけど、1人で寂しくなかったの?」


そう聞くと、ひなたの瞳が一瞬悲しげに揺らいだのをあたしは見逃さなかった。


「っごめん。無神経だった」


謝るあたしにひなたはううん、大丈夫と首を横に振る。


『寂しくない、って言ったら嘘になるけどあたしには支えてくれた人達がいたから。』


だから、大丈夫と言ったひなたは、いつものように笑った。



「お〜い、ひなた!これ何だ?」

『何が、ルフィ?』


ルフィが呼ぶ声がし、ルフィの元へ向かうひなたの後ろ姿を見る。


ひなたはあたし達を家に泊まらせてくれる理由に楽しそうだから、と言っていた。


その時はどんな理由だ、と思ったがあながち嘘ではないのかもしれないと思った。


(ナミside終了)
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