-妄想合いっ子-
□一話「文芸小町」
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「よっし、卒業号完成」
パタンと部内のパソコンを閉じる。
部室には私一人。文芸部所属の後輩や友達は自宅作業を選んだため、今日中に仕上げようとした私は、ゆったりと静かな空間に浸っていた。
「うーん、でも新入生歓迎号も書くとなるとな。今日中には無理っぽいし…」
っていうか新入生がくる頃には卒業して高校生なのになんで書かなくてはならないのか…
まあ実績が残せてるってことなんだろうね。ありがたやありがたや。
「そうだ、ちょっと体育館の風景をじっくり見てこよう」
スポーツしている人に恋に落ちる、みたいなシチュエーションなら万人受けするかも。
『ここで私たちは出会った』で区切っても、この後は読者の想像に任せることが可能だ。
「よいしょっと」
私は鞄を持って、体育館へ向かった。
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