黒バス中編・短編集
□この先もアナタから目が離せそうにない
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だんだんと外が茜色に染まっていく。
もう随分と長居してたのね、志摩のご両親はいつ頃お帰りなのかしら。
「……志摩?」
「すぅ……すぅ……」
あら、寝ちゃったのね。
風邪をひいてるときは眠るのが一番。とはいったものの、困ったことになんだか寂しい気持ちもあるのよね、正直言うと。
「早く治して、元気になってちょうだい」
「……んん…れおちゃ……」
驚いて志摩の目を見る。相変わらず閉じたまま。
ああ、寝言ね、びっくりしたわ。
「……えいっ」
びっくりさせた罰よ、と言わんばかりに志摩の頬を優しくつつく。
ああ、柔らかい。可愛い。
「元気になったら、いっぱい相手してもらうからね」
翌日。
「おはよう、玲央ちゃん!」
「あら、もう大丈夫なの?」
「うんっ、ありがとうね玲央ちゃん」
ふわりと微笑む志摩。
あー、もうダメ。
「うわっと……!」
「治ってよかったわ」
人目を憚らずに志摩を抱きしめる。
最初の方はゆるく抵抗していたけれど、諦めたのか私に体を預けてくれた。
「なんだか、玲央ちゃんには頼りっぱなしだなあ」
「あら、今更ね。でも私がやりたくてやってることなのよ」
志摩の頭を撫でると猫の様に目を細めてされるがままになってくれる。
ああん、もう、愛しい、愛しい。
この先もアナタから目が離せそうにない
だからいつまでも愛させて?
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