黒バス中編・短編集
□私を困らせたいとしか思えないわ
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皆さんごきげんよう、実渕玲央よ。
志摩が風邪をひいちゃって、今私はお見舞いに来てるの。
何回か志摩の家にはお邪魔させてもらってるけど、お見舞いっていうのは初めて。
だから、なんていうの、ええっと…………。
「……れおちゃん、」
「あら、なあに?」
「手、にぎってほしいな……」
いつもより甘えたさんな志摩が可愛すぎて……!
最初こそ「うつるから」だの「見苦しいから」だの言ってた志摩。
それを無視して看病してたら、この子の中で色々吹っ切れたみたい……
「はい、お安い御用よ、お姫様」
「ふふ……冷たくて気持ちいい……」
差し出した私の手にすり寄ってくる志摩。
なんだか、試されてる気分よ……!
しかもしかも!パジャマ姿で顔も真っ赤で舌ったらずなのよ!?
「状況が状況じゃなかったらねえ……」
「?どうしたの……?」
「な、なんでもないわ……」
変なれおちゃん、と言うと力なく微笑んで私の手を握り返す志摩。
そう、この子は病人、この子は病人……。
「……志摩」
「んー……?……って、え!?」
握っている手に口づけをする。
これくらいなら、許されるでしょう?
「今日はこれくらいで勘弁してあげる」
「な、な、な……!」
「もう、風邪をひいてるからって思わせぶりな行動しちゃって」
私を困らせたいとしか思えないわ
元気になったら覚悟しなさい、お姫様?
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