黒バス中編・短編集
□こういう時は私に頼れって言ったでしょう
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どうしたものかなあ。
「へっくしゅ!!」
あ、皆さんこんにちは。伊勢志摩です。最近は気温の変化が激しくて参ってしまいますね。
「あー……」
そんな私も温度差に耐えられなかったようで、見事に風邪をひいちゃいました。
くしゃみが止まらず、体もだるい。薬は飲みたいけどお腹に何か入れてからじゃないと。
ただ親は今外せない用事とかで夜までいない。
そのうえご飯を作る気力も湧かない。
「れおちゃん……」
病気の時って人が恋しくなるけど絶賛それ状態なわけで、ついつい玲央ちゃんの名前を呟いてしまう。
玲央ちゃん今何してるかな、時間的に部活前かなあ。
すると自分のケータイが震えた。
『家、開けて』
「えっ」
玲央ちゃんからのメッセージ。
え、待って、これって、ええっと。
とりあえず言う通りにしようと玄関まで向かうと、道中でインターホンが鳴った。
「……っ、れおちゃん」
モニターに見える玲央ちゃんの姿に思わず泣きそうになる。
『あ、志摩。体調どう? とりあえずゼリーとか買ってきたからあげてもらってもいい?』
「う、うん」
鍵を解き、扉を少し開けると、玲央ちゃんが微笑みながら手を振った。
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「あーもう、昼ご飯食べてないとか聞いてないわよ」
「うう、ごめん……」
「まあ、しょうがないわね。はい、みかんゼリー。そのあとにお薬よ」
「はあい……」
現在は玲央ちゃんと一緒に私の部屋に。
人がいるというだけで安心するけど、それが玲央ちゃんだともっと安心する。
「……それで」
「ん?」
「どうして連絡くれなかったの?」
「あ、それは……」
「風邪うつしたくないから、って言いたいんでしょうけど、気にしなくていいのよ。志摩は遠慮しすぎ」
「うー、だって……」
実は風邪ひいたことを玲央ちゃんに教えていない。言ったら絶対心配するから。
でも言わなくても一緒だったことを今私は実感した。
「もう……」
こういう時は私に頼れって言ったでしょう
そういうと彼は焦った表情で私を優しく抱きしめた。
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