黒バス中編・短編集
□私の目の届く範囲にいて
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「ええっと……」
「ふんふんふーん♪」
「……玲央ちゃん?」
「あら、なあに?」
皆さんごきげんよう、洛山高校バスケ部の実渕玲央よ。
今日は部活があったんだけど、午前で終わっちゃったから愛する恋人の志摩と一緒におうちデートってわけ。
それで志摩を膝に乗せて、久しぶりのお休みをまったりしてたんだけど……。
「重くない?」
「ん? 全然?」
むしろ軽いくらいよ。今度たくさん食べさせなきゃ。ケーキでも作ろうかしらね。
「そ、そっか」
「なあに、心配してるの? かーわいい」
「ひゃっ!」
脇腹。志摩ってばここくすぐられるの弱いのよねえ。
「もうっ、すぐ意地悪する……」
「えー、心外だわ。意地悪じゃなくってスキンシップよ」
えー、と不服そうに呟いてクスクスと笑う。ああ、もう、なんて可愛いのかしら!!
なーんて考えているとなんだかゴソゴソし始める志摩。
何かしら、一回出たいのかしら。
「こーら、どこ行く気?」
離れないで。
思いの丈をこめてぎゅうううっと抱きしめる。
「わ、わ、わ、玲央ちゃんっ!?」
「ねーえ、志摩」
「は、はい……!」
「どこ行こうとしたの?」
「え? 玲央ちゃんのお茶が無くなったから、注ごうと思って……」
わたわたしてる。本当に可愛い。
私のお茶が無くなったことなんて、全然気にしないでいいのに。
志摩の頬に手を当て、ゆっくりと撫でる。だんだんと熱くなっていく愛らしい頬に、ニヤつきが止まらないわ。
「私、とっても過保護なのよ」
「そ、そうだね……」
「ふふ、だから」
私の目の届く範囲にいて
心配で、気になって、仕方ないのよ
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