黒バス中編・短編集

□ようやくこの日が
1ページ/1ページ



〜高尾視点〜





「おーい、志摩ちゃーん?」



中庭にて。俺は日誌を持って逃走した志摩ちゃんを探しに来てる。


教室前に何故かいた真ちゃんに「探しに行ってこい」と言われて志摩ちゃん探しをしてっけど……。



「いねえなー」


最初のほうは、シャイなとこも超可愛いなーと思ってたけど、探せば探すほどネガティブになってくる。


俺に触れられたの、逃げるほど嫌だったのかなとか、さ。




「ん?」



カサッと物陰が若干動いた。


俺は見逃さずにそっと近寄ると、そこには。



「志摩ちゃん」


「え!!?」



日誌を胸に抱いて体育座りしてる志摩ちゃんがいた。



「なーにしてーんの」


「……ご、ごめんね……」


謝られちった。なんだか胸が痛い。



「……そんなに、俺に触られたの嫌だった?」


「え!?」


「ん、隠さなくっていいから。全然……」



平気だから。好きな子に拒絶されたのはスッゲー悲しいけど、頑張って立ち直ろう。



「ち、ちがうの!!!」


「……え?」



志摩ちゃんは立ち上がり、俺の目を見た。



まっすぐで、たまにしか目が合うことがなかったけど、俺の大好きな目。


どくん、と鼓動が高鳴る。







「あ、のね、高尾くんが嫌いなわけないの!ただ、高尾くんを見ると、胸がどきどきして、すっごく戸惑っちゃって、」



「……え」




どういう状況なんだ、これは。


目の前で好きな女の子が、自分を見てどきどきすると言ってる。


俺と同じような現象が起こってるって、言ってる。




「だから、だからね、私、ずっと、高尾くんが、」



「志摩ちゃん」



「っ……はい」




これ以上言わせたらおかしくなりそう。


ここからは俺が言わないと。




「俺も言っていい?」


「う、うん……」



「……俺、志摩ちゃんのことが気になって仕方なくってさ、いつもいつも目で追って、真ちゃんにも聞いたりして」


「……え……」


「俺、志摩ちゃんが好き。だあい好き。一緒の気持ちなんだよ」


「っ……!!」



今ここで、言おう。


学校の中庭とかムードもへったくれもないかもしれないけど、今しかない。


「俺と、付き合ってくれませんか」



「……はいっ!」



















次の日。




















--緑間視点--



「おはよう!高尾くん!緑間くん!」


「おっはよ、志摩!」


「……おはようなのだよ」





昨日、教室から高尾を送り出してから俺は何もしていないし、見ていない。



が、なんとなく作戦がうまくいったことがわかる。


現に伊勢が俺の横ではなく、高尾の横に並んだのが何よりの証拠だろう。






やれやれ、これで俺の役目は終わりか。





「(なあ、真ちゃん)」






「……なんなのだよ」








何故か小声で話してくる。嫌な予感しかしない。



「(志摩と付き合うようになった)」



「みたいだな」



「(……どうすりゃいいの?可愛すぎて手が出せねえんだけど)」







は?







「俺に聞くな。相手を間違えているのだよ」


「? 何お話してるの?」


「いーや?志摩は可愛いねって話」


「え、な、な、なに言ってるの!?」







まあ、いいか。






ようやくこの日が
ただし俺は解放してくれ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ