黒バス中編・短編集
□ようやくこの日が
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〜高尾視点〜
「おーい、志摩ちゃーん?」
中庭にて。俺は日誌を持って逃走した志摩ちゃんを探しに来てる。
教室前に何故かいた真ちゃんに「探しに行ってこい」と言われて志摩ちゃん探しをしてっけど……。
「いねえなー」
最初のほうは、シャイなとこも超可愛いなーと思ってたけど、探せば探すほどネガティブになってくる。
俺に触れられたの、逃げるほど嫌だったのかなとか、さ。
「ん?」
カサッと物陰が若干動いた。
俺は見逃さずにそっと近寄ると、そこには。
「志摩ちゃん」
「え!!?」
日誌を胸に抱いて体育座りしてる志摩ちゃんがいた。
「なーにしてーんの」
「……ご、ごめんね……」
謝られちった。なんだか胸が痛い。
「……そんなに、俺に触られたの嫌だった?」
「え!?」
「ん、隠さなくっていいから。全然……」
平気だから。好きな子に拒絶されたのはスッゲー悲しいけど、頑張って立ち直ろう。
「ち、ちがうの!!!」
「……え?」
志摩ちゃんは立ち上がり、俺の目を見た。
まっすぐで、たまにしか目が合うことがなかったけど、俺の大好きな目。
どくん、と鼓動が高鳴る。
「あ、のね、高尾くんが嫌いなわけないの!ただ、高尾くんを見ると、胸がどきどきして、すっごく戸惑っちゃって、」
「……え」
どういう状況なんだ、これは。
目の前で好きな女の子が、自分を見てどきどきすると言ってる。
俺と同じような現象が起こってるって、言ってる。
「だから、だからね、私、ずっと、高尾くんが、」
「志摩ちゃん」
「っ……はい」
これ以上言わせたらおかしくなりそう。
ここからは俺が言わないと。
「俺も言っていい?」
「う、うん……」
「……俺、志摩ちゃんのことが気になって仕方なくってさ、いつもいつも目で追って、真ちゃんにも聞いたりして」
「……え……」
「俺、志摩ちゃんが好き。だあい好き。一緒の気持ちなんだよ」
「っ……!!」
今ここで、言おう。
学校の中庭とかムードもへったくれもないかもしれないけど、今しかない。
「俺と、付き合ってくれませんか」
「……はいっ!」
次の日。
--緑間視点--
「おはよう!高尾くん!緑間くん!」
「おっはよ、志摩!」
「……おはようなのだよ」
昨日、教室から高尾を送り出してから俺は何もしていないし、見ていない。
が、なんとなく作戦がうまくいったことがわかる。
現に伊勢が俺の横ではなく、高尾の横に並んだのが何よりの証拠だろう。
やれやれ、これで俺の役目は終わりか。
「(なあ、真ちゃん)」
「……なんなのだよ」
何故か小声で話してくる。嫌な予感しかしない。
「(志摩と付き合うようになった)」
「みたいだな」
「(……どうすりゃいいの?可愛すぎて手が出せねえんだけど)」
は?
「俺に聞くな。相手を間違えているのだよ」
「? 何お話してるの?」
「いーや?志摩は可愛いねって話」
「え、な、な、なに言ってるの!?」
まあ、いいか。
ようやくこの日が
ただし俺は解放してくれ