黒バス中編・短編集
□我ながら完璧な舞台設定
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「お、お、おはよう!高尾君!」
「オッス!志摩ちゃん」
なんというか、もう、イライラしてきたのだよ。
毎日毎日この調子が続き、そろそろ物理的にも精神的にも間に挟まれている俺の苦労をわかってほしい。
事故でもいいから引き合わせる必要がある。
これはもう一計打つしかあるまい。俺の今までのストレスをすべてぶつける時が来た。
この一計にすべてをかける。俺の気苦労のために。
「伊勢」
「ん?」
「今日の日直は俺とお前だったな」
「うん、そうだよ。がんばろうね!」
にっこりとほほ笑む伊勢。
何故この瞬間俺の隣で高尾が悶えたのかよくわからない。
あと何故伊勢はそれに気付かない。この二人は付き合えない呪いでもかかっているのか。
……いかん、作戦の途中だ。
「ああ、だが、すまない。委員会で放課後は残れそうにない」
「そっかー。大丈夫、放課後だけなら私一人でがんばるよ」
「そういうわけにもいかん。代理を用意しよう。どこかに同じクラスの暇そうで、伊勢と毎日喋るほど仲が良く、俺の言うことを聞くような男子はいないものか……」
「み、緑間くん?」
「ちょっと真ちゃーん、何言ってんの?そんな都合のいい奴いるわけ……」
「ああ、お前がいたな。高尾」
「「え???」」
「悪いことは言わない。変われ」
「は?」
「ま、ま、ま、待って緑間くん。一回落ち着こう一回落ち着こう」
「これ以上の適任はいないと思うが」
「(そ〜〜〜う〜〜〜じゃ〜〜〜な〜〜〜い〜〜〜の〜〜〜!!!)」
小声で慌て始める伊勢。だが知らん。舞台は整えてやる。あとはどうとでもなれ。
「真ちゃん」
「なんだ」
「いや、言わなくていい。俺にはわかってる」
何も言ってないのだよ。
「俺やるよ、やるやる。一緒にがんばろーな、志摩ちゃん!」
「え、え、え、あ、えっと、はい……」
「…………ふぅ」
あとは野となれ山となれ。
我ながら完璧な舞台設定
俺が解放されるまでもう少しなのだよ
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