黒バス中編・短編集
□見てるこっちがハラハラ
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「……なあ、真ちゃん」
「……」
「志摩ちゃんって彼氏いるのかな」
……その問いは今更ではないか?
部活の帰り。腹が減ったから飯でも食って帰ろう、と高尾が言うので誘いに乗った。
出された料理を食べつつ、やれ○○高校のバスケ部は強いだの、やれ先輩方がどうだの、という話を(ほぼ高尾が一方的に)していた。
が、ついに伊勢の話になった。
こんなレストランで制服姿の男子高校生が恋愛話をしているとなると、いよいよ笑い話に思えてくる。
「……いないと思うが」
「え、何。知ってんの?」
「予想なのだよ」
焦って嘘をついた。知っている。いない。断言できるのだよ。
「じゃあさ、志摩って、好きな人とかいるのかな」
「……」
お 前 だ 。
お 前 な の だ よ 。
「……い、」
「あ〜〜〜!!!待って!!!ストップ!!!!!真ちゃん何気に志摩ちゃんと仲いいし、知ってそう!!!聞きたくない!!!!」
いる、と言おうとしたが、この状態の高尾は確実にショックを受ける。
かと言って、俺が伊勢の思いをこいつに伝えるのは違う(と、思う)。
……遮ってくれてラッキーだったな。今日のおは朝に感謝するのだよ。ラッキーアイテムの虫除けスプレーにもな。
……というより、なぜ俺がこいつと伊勢の恋愛話にヒヤヒヤしなくてはならんのだよ。
「はあ……こんなに悩むとか、俺らしくねーなー……」
「そうだな、本当に」
「あ、ひっでーのー」
まったく、
見てるこっちがハラハラ
頼むから解放してくれ
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