-もっと!妄想合いっ子-
□十一話「魅了」
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「大丈夫ですかね……」
「落ち着け、あいつらはそんなやわじゃない」
うう……皆さんが強いっていうのはわかっているけど、すごく緊張してしまう。
そりゃあ点が入るたびに嬉しいし、相手選手を抜いた時は手を叩いて喜んだりする。
それでも、ドキドキする……。
「お前は魅せられているんだろうな」
「え……?」
監督がひどく落ち着いた声で言う。
私が振り向くと、監督はこちらを見ずに淡々と告げた。
「特に初戦のこの相手はトリッキーな動きをする。だからお前は“次”を意識して、それに対応するあいつらに、期待してるんだろう」
まあ、本当のところはわからんが、と監督は最後に付け足した。
……魅せられている。
そうなのかもしれない。私は緊張していても不安を感じてはいない。
そういうことなのかなあ……。
そう考えていると、ホイッスルが鳴り響いた。
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