嗚呼、愛しのお姫様
□プロローグ
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とある、よく晴れた朝だった。
「美乃さん…今日も可愛いです…」
「……」
二人の男子高校生が自身の所属校であろう誠凛高校の前で、一人の少女を見ていた。
いや−−−一人は熱視線を送っていたという方が正しいであろう。
もう一人は、少女に連れの彼が何もしないよう見張っていたというところか。
「おい、黒子…」
「そうだ、あとで話をしないと…あと、美乃さんの好きなお菓子も渡さないとですね…」
「……はぁ」
だめだこりゃ、と見張っていた彼−−−−火神大我は一つため息をつく。
そんな火神のことはお構いなしに、連れの(というか火神の方が連れっぽいが)黒子テツヤは少女、御桜美乃を見つめる。
「あっ」
美乃と、目が合う。
黒子は焦った。こんな覗き見のようにコソコソと自分のことを見ている男性に、少なからず幻滅の言葉を胸に抱えるのではないか、と。
だが、彼女はちがう。
フリフリ
「!!」
控えめに笑って、手を振った。
そして、彼女は下駄箱へと入っていった。
恍惚な笑みを浮かべる黒子。
そんな二人の様子を見て、ついに火神が口を開いた。
「お前ら恋人同士だろ!!!!!!!?」
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