変態特別注意報
□五話「姉とテニス」
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「う、わー……すごい熱気」
キラキラした目でテニスコートを見下ろす姉ちゃん。
連れてきて良かった……!
「あ、ブン太と雅治だ。おーすっごい汗…」
キョロキョロと周りを見ては一喜一憂する姉ちゃんを見てると、なんかフワフワした気分になる。
すると、コートからある人物が歩いてきた。
「赤也、そろそろ集合だぞ」
「あ、柳センパイ。了解ッス」
「あ」
向こう側から歩いてきたのは柳センパイ。
センパイなら害はなさそうだし、姉ちゃんと会わせても大丈夫だろ。
そう思ってチラッと姉ちゃんを見たら、センパイにぺこりと頭を下げていた。
「お昼休みはありがとうございました」
「気にするな、あれくらいどうということはない」
「え、知り合いッスか?」
予想外のことだったから、パッと柳センパイに尋ねた。
ま、まさか、俺の知らない間に………!!
「うん、図書室で高い場所にあった本をとってくれたの」
「困っているようだったのでな」
顔を見合わせて笑いあう二人。
……なんかイライラする。
「ではな、千秋。またゆっくり話そう」
「うん!……あれ?」
首を傾げた姉ちゃんを置いて、俺と柳センパイは幸村部長の元へ走ってった。
「…なんで私の名前、知ってたんだろ」
END