嗚呼、愛しのお姫様
□一話「影を見つける」
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「美乃さん」
「あ……」
体育館に入った瞬間、不意にぎゅうっと手を握られた。
あまりに急すぎて思わずびっくりしてしまう。
でも……
「いい匂い………」
「はいはい、いちゃつくのは後にして!!」
「「あっ……」」
ベリィッ、という効果音が出るくらい思い切りリコ先輩に引き剥がされた。
もちろん手の正体はテツヤくん。
「ったく…吐きそうになるぞオイ」
キャプテンが頭の後ろを掻きながら言う。
そんなに……お見苦しかったのかな………。
「ごめ、ん…なさい…」
「だああああ!!謝らないでいいよ!!」
「……はい」
「(後ろの黒子が怖えーから!!)」
許してくださった。嬉しいです。だいすきですキャプテン。
「…!?(美乃さんから何か聞き捨てならない言葉が…)」
「?どーした」
「……なんでもないです、火神くん」
「テツヤ、くん…今日も、頑張ろうね……」
「ええ、そうですね。今日も部のサポートよろしくお願いします」
「………うん…!」
「…Oh(一気に不機嫌が治りやがった…)」
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