妖精の友

□マグノリアへ
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ルーシィさん達とマグノリアの街へ向かうことにした私とアクア。
すぐに旅立とうとしたが、アクアに引き留められた。

「契約?」

「そう。さっきも話したけど、本来この魔法は妖精が人間に与える物。
そして妖精が主と認めた人間と契約しておかなければ召喚できないのよ」

すっかり忘れていた。今まではアクアが魔力を譲渡したことで、自分で現れていた。
私の方から「出てきて」と言って出てきてもらったことはない。
会いたくなって、水辺や小川に湖といった場所へ行った時に、アクアの方から現れてくれた。

「これを機に、正式に契約をしておきましょう。
そうすれば、サクラから私を呼び出すことは可能になるから」

アクアによると、妖精の召喚にも色々と制約があるみたいだ。
同じ属性の自然物が必要であること(アクアの場合は水)。
召喚に必要な詠唱をすること。
基本的に召喚は1体のみということ。
いずれも私の魔力が高くなっていけば、省くことは可能らしい。

「せっかくだから、今ここでしちゃえば?
妖精との契約ってどんなものか見てみたいし」

「私も見たいです!!」

興味津々、といった感じで提案するルーシィさんとウェンディさん。

「それじゃ…アクア、契約します」

「了解!!」

はい、と手の平を向けて、両手を出すアクア。
私はその手の平に自分の手の平を重ねる。

「サクラ、目を閉じて精神を集中して…」

言葉通りに目を閉じて、深呼吸をしながら精神を統一させる。

「意識を私の手の平に集中させてみて」

集中させていた精神を、手の平に向かわせる。
すると、温かいような、冷たいような不思議な感覚になった。

「私の後に続いて詠唱してね。
『我、水の妖精に選ばれし召喚者』」

「『我、水の妖精に選ばれし召喚者』」

「『現在(いま)ここに、召喚の契約を交わす』」

「『現在(いま)ここに、召喚の契約を交わす』」

「『我が名はサクラ』」

「『我が名はサクラ』」

そこまで言い切ると、自分の中に今まで感じたことのない力が流れこんでくることが分かった。
これが魔力っていうやつかな…?

「はい、契約完了!!目を開けて」

ゆっくり目を開けると、そこにいたのはさっきまでの大きくなったアクアじゃなく、今朝のような小さいアクアだった。

「ちっさ!!」

「とっても可愛いです♪」

「こっちのほうが妖精って感じね」

私にとっては、こっちの方が馴染みのある姿だから、少し安心した。
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