問題児と自由な人

□Yes!黒ウサギが呼びました!
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『ぎにゃああああああ!!
お、お嬢おおおおおお!!』

『いやぁっっふふぅぅぅぅぅ!
浪哉気持ちいね!』


「おう!最高だなこりゃ」


上空4000mから落下した
四人と二匹は、
落下地点に用意してあった
緩衝材のような薄い水膜を
幾重も通って湖に投げ出される


「きゃ!」

「わっ!」

「最高っ!」


ボチャン、と着水

水膜で勢いが衰えたため
四人は無傷で済んだが

耀と浪哉とともに
落ちてきた三毛猫とクロは
そうもいかない。


慌てて二人は二匹を抱きかかえ、
水面に引っ張り上げる。


「……大丈夫?」

「おいおい、平気かよ」

『『じ、じぬがぼおぼた……!』』


まだ、呂律が回らないながらも
無事を確認しほっとする


他の二人はさっさと
陸地に上がりながら、
それぞれが罵詈雑言を
吐き捨てていた。


「し、信じられないわ!
まさか問答無用で引き摺り込んだ
挙句、空に放り出すなんて!」


「右に同じだクソッタレ。
場合によっちゃその場で
ゲームオーバーだせコレ。
石の中に呼び出された方が
まだ親切だ」

「……。いえ、
石の中に呼び出されては
動けないでしょう?」


「俺は問題ない」

「そう。身勝手ね」


二人の男女はフン、
と互いに鼻を鳴らして
服の端を絞る。

その後ろに続く形で
耀と浪哉が岸に上がる。

同じように服を絞る隣で
三毛猫とクロが
全身を震わせて水をはじく。

「此処……どこだろう?」

「さあな。まあ、
世界の果てっぽいものが見えたし
どこぞの大亀の背中じゃねえか?」


「後で、フラフラ散歩しに行くか
クロも来るか?」

『勿論っ!行く行く』


耀の呟きに十六夜が応える。

それに場違いな声が…………。


「まず間違いないだろうけど、
一応確認しとくぞ。

もしかしてお前達にも
変な手紙が?」


「そうだけど、まずは
WオマエWって呼び方を訂正して
ーーー私は久遠飛鳥よ。

以後気をつけて。
それで、そこの猫をだき
抱えている貴方は?」


「……春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。
そして
野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」


「高圧的な自己紹介をありがとよ
見たまんま野蛮で凶暴な
逆廻十六夜です。

粗野で凶悪で快楽主義と
三拍子そろった駄目人間なので、
用法と用量を守った上で
適切な態度で接してくれ
お嬢様」


「そう。取扱説明書をくれたら
考えてあげるわ、十六夜君」


「ハハ、マジかよ。
今度作っとくから覚悟しとけ、
お嬢様」


「で、最後にさっきから黒猫と
フラフラしている
一般人のような貴方は?」


「ん?あぁ、俺ね
俺は春日部浪哉
耀の兄貴だ

縛られるのが大嫌いな
自由主義者です。
よろしく久遠さん」


「あら、そうなのでは
名前で呼ばして貰いますわ
浪哉さん」
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