問題児と自由な人

□空の果てってあるのかな?
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「ジン坊っちゃーン!
新しい方を連れてきましたよー!」


「お帰り、黒ウサギ。
そちらの女性二人が?」


「はいな、こちらの御四人様が……」

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

カチン、と固まる黒ウサギ。


「……え、あれ?
もう二人いませんでしたっけ?

ちょっと目つきが悪くて、
かなり口が悪くて、
全身からW俺問題児Wってオーラを放っている殿方と

フードで顔が見えなくて、
見るからに一般人で
全身からW自由人Wってオーラを放っている殿方が」


「ああ、十六夜君のこと?
彼なら
Wちょっと世界の果てを見てくるぜ!W
と言って駆け出していったわ。
あっちの方に」


あっちの方に。
と指をさすのは上空4000mから見えた断崖絶壁



「兄さんなら
W十六夜が世界の果てなら俺は空の果て見に行きたいなーW
って言って……………」


そのまま押し黙る耀
きっといつの間にか消えたんだろう


街道の真ん中で呆然となった黒ウサギは
ウサ耳を逆立てて二人に問いただす


「な、なんで止めてくれなかったんですか、」


「W止めてくれるなよW
と言われたもの」


「ならどうして黒ウサギに
教えてくれなかったのですか⁉︎」


「W黒ウサギには言うなよW
と言われたから」


「嘘です、絶対嘘です!
実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」


「「うん」」

ガクリ、と前のめりに倒れる。

そんな黒ウサギとは対照的に、
ジンは蒼白になって叫んだ


「た、大変です!
W世界の果てWにはギフトゲームのために野放しにされている幻獣が」


「兄さん本当に何処に行ったのかな?」


「空の果ては聞いた
ことがないので分かりませんが
この森の何処かにいるでしょう」


「はあ……ジン坊っちゃん。
申し訳ありませんが、
御二人様のご案内を
お願いしてもよろしいでしょうか?」


「わかった。黒ウサギはどうするの?」


「問題児と自由人を捕まえに参ります。
事のついでにーーーーー

ーーW箱庭の貴族W
と謳われるこのウサギを
馬鹿にしたこと、
骨の髄まで後悔させてやりましょう」



悲しみから立ち直った黒ウサギは
怒りのオーラを全身から噴出させ、
艶のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。


外門めがけて空中高く跳び上がった黒ウサギは外門の脇にあった彫像を次々と駆け上がり、
外門の柱に水平に張り付くと


「一刻程で戻ります!
皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ごさいませ!」



黒ウサギは、淡い緋色の髪を
戦慄かせ踏みしめた門柱に亀裂を入れる
全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去り、
あっという間に
三人の視界から消え去って行った
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