問題児と自由な人

□Yes!黒ウサギが呼びました!
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「や、やだなあ御三人様。
そんな狼みたいに怖い顔で
見られると黒ウサギは
死んじゃいますよ?

ええ、ええ、
古来より孤独と狼はウサギの
天敵でございます。

そんな黒ウサギの脆弱な心臓に
免じてここは一つ
穏便に御話を聞いていただけたら
嬉しいでごさいますヨ?」


「断る」

「却下」

「お断りします」

「うおっ、ウサギだ美味いかな」


「あっは、取り付く
シマもないですね♪

って、そこの人
それは酷いですヨ!」


バンザーイ、
と降参のポーズを
とる黒ウサギ

しかしその眼は
冷静に四人を値踏みしていた。


(一人はよく分かりませんが
肝っ玉は及第点。
この状況でNOと言える
勝ち気は買いです。

まあ、扱いにくいのは難点
ですけども)


春日部兄妹は不思議そうに
黒ウサギの隣に立ち、

黒いウサ耳を根っこから鷲掴み


「えい」

「おりゃ」

「フギャ!」

力いっぱい引っ張った

「ちょ、ちょっとお待ちを!

触るまでなら受け入れますが、
まさか初対面で遠慮無用に
黒ウサギの素敵耳を
引き抜きに掛かるとは、
どういう了見ですか⁉︎」


「好奇心の為せる業」

「自由の為せる業」


「自由にもほどがあります!」


「へえ?このウサ耳って
本物なのか?」


今度は十六夜が
右から掴んで引っ張る。


「……。じゃあ私も」


「ちょ、ちょっと待ーーーーー!」


今度は飛鳥が左から。

左右に力いっぱい引っ張られた
黒ウサギは、
言葉にならない悲鳴を上げ、


その絶叫は近隣に木霊した。
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