短夢


□神威/甘々
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『ちゅうーっ!!』

これは、私と神威の間では『キスして』の意味に当たる。

ルールと言うか、いつの間にか出来ていたルールである。

学校の帰り、別れる時に神威から言ってくる言葉だ。

そして私がキスする。

それが日常であるのだが……今日は少しからかってみようと思う。

そんなことを考えている帰り。

隣では私と恋人繋ぎをする神威の姿。

「あ、もうお別れかあ」

住宅街の曲がり角で私たちは別れる。

神威は、それを目の前に寂しそうに呟いた。

「ふふっ、また明日会えるよ」

いつもと同じように、計画がバレないように接する。

「うん……そうだね。じゃあ」

神威が顔を近づけてきた。

「ちゅうー! して!」

甘えた声を出す。

「……いやっ」

今日計画していた「嫌がる素振り」を見せる。

すると。

「んんーっ……」

眉を八の字にして落ち込む。

「かっ……、」

可愛いなこのーっ。

耐えれなくなった私は。

「ごめん、さっきの嘘」

と言ってしまう。

その瞬間、

ちゅうーっ

待ってましたと言わんばかりに神威はキスをしてきた。

「はぅ……」

「嘘は、泥棒の始まりだよ?」

参りました。

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