短夢
□沖田総悟/死ネタ
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「沖田ァ……」
そうショボくれた声を出すのは、真選組隊士の名無しさんだ。病室の真っ白で飾りっ毛のないベッドに横たわる沖田の細くなった手を強く握り、今にも泣きそうな表情で言葉を続ける。
「こんな別れ方、らしくないよっ……」
蒼い瞳に透明の雫を溜め、声を振り絞る。そんな彼女を見た沖田は何を思ったのか、ふっと口元を綻ばせた。
「何、言ってんでィ……。らしくねえのはないお前だろィ……?」
酷く虚ろで燦然の輝きがない瞳。真選組一番隊隊長を勤めていたなんて夢のようだ。彼は彼女を心配させまいと、残りわずかな力を振り絞り、掠れた声でそう言った。
「そうだねっ……。ごめん、私達はいつでもライバルだもんね……っ」
「ああ、俺たちァ永遠のライバルでィ……」
そう言った刹那。
「__ゴホッ!! ゲホッ、ゴホゴホッ!!」
沖田は、苦痛に顔を歪め自分の口許を抑えた。その彼の掌には……。
「血……」
沖田が吐いた血は留まることを知らないかのように、地面に落ちる、落ちる、落ちる__
「う、ぅあ……いやぁああああッッ!!!」