-White Snow-

□7.大空と白。
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「聞いて何になる。」

「えっと、ましろが出来ることがあるかも?」

「そうか。それなら一番いい仕事を与えてやる。」

「お仕事…?」


聞いてから良くない雰囲気だと理解するのに時間はかからなかった。

慌ててソファから降りて部屋を出ようと扉に向かえば、後方から銃の弾が飛んでくる。

紙一重の所で避ければ容赦なく次の攻撃がやってきて再び避けるの繰返し。

当然、部屋の中は物が壊れたり焦げたりと散々で、外への騒音も相当なもの。

メンバーにしてみればいつものことなので気にはならないらしいが。






数分後…ようやく部屋から脱出できたましろは肩で息をしていた。

何日も留守番で籠っていたせいか、ザンザスの銃攻撃を避ける体力も落ちてしまった様。

結局知りたかった夢の話もできずに終わってしまった。

知られたくなかったからあの行動に出たのだろうけども。と色々思いながら呼吸を落ち着ける。


「きっと、大切な…」


誰にでも言えるような絵空事に近いものや軽い気持ちではない、本気の夢。

その為にしていることは決して良くないけど、何かの犠牲があっての結果。

ましろ自身も知らない誰かの過程の上で偶々うまくいって、偶々生きていただけ。

残酷な世界でとても綺麗な想いを見つけたから、純粋に笑っていられる。


「やっぱり、知りたいな。」

「何が?」

「あ!べるっ!」

「うししっ…生きて帰れたじゃん?さっすが王子。」

「でもボロボロだもん!いっぱい疲れた!」

「それで済んだんだからいいだろ。文句ゆーな。」

「む〜っ…」


膨れっ面をすればベルは面倒そうにましろの頭を優しく撫でる。

その程度で機嫌が戻るくらい素直で単純なら手が掛からない。

が、今の彼女は違う。


「べるっ!」

「なんだよ。」

「絶対仕返しするから!」

「出来ると思ってんの。」

「ましろは前より強くなったもん。」

「マーモンより劣るくせに。」

「む〜っ!」


幻術の指導をしてくれたマーモンを出されては能力に関してそれ以上は言えず、ひたすら意地悪く笑うベルを睨む。

何の効果も持たないけれど自分の気持ちを表すなら一番わかりやすい行動で、楽しそうにしていても後でちゃんと気にかけてくれる。

だからましろも執拗に食い下がる真似はしない。

そこでスパッと気持ちを切り替えて話題もまた、別の内容にする。


「ずっと気になってたことがあるんだけど。」

「気になること?」

「おっきい機械。喋るのかな?」

「…知らね。」

「べる、気にならない?」

「ならない。それ以前に何も無くてつまんね。」

「そっか…。」



...
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