-White Snow-

□10.約束の為に。
1ページ/6ページ









「…わかってる。白蘭は絶対に私を追うはずだから仕向けてくるわ。」


携帯を片手に誰かと話をする真っ白な制服姿の女性。

彼女は今、森の中で身を隠すようにどこかへ向かっている途中なのだ。


「またしばらく会えないけど…気を付けてね。」














「よう、遅かったな。」

「ごめんなさい。白蘭がなかなか離してくれなくて。」

「嘘をつくな。今やお前さんは身内のお尋ね者って噂だぜ?」

「だから貴方を頼ってここに来たの。γ(ガンマ)。」

「はいはい…ましろお嬢さん。」


γと呼ばれた男は飲んでいた酒の入ったグラスを置いてましろに近寄る。

そして隣に置いていた袋から二丁銃を取り出して彼女に渡した。


「最終調整はしておいた。お前さんが何をしようとしてるのかはさっぱりだが、無茶だけはするなよ?」

「ありがとう。本当は全部話したいけど、言ったら敵になっちゃうから。」

「まさかボンゴレと通じてる、とかか?」

「いずれ告白するわ。あ、それと…最後のお願い聞いてくれないかな?」

「最後と言って、今まで何回お願いしてきたんだ?」

「ごめん!本当の本当にこれが最後だから!」


手を合わせて必死にお願いするましろ。

それに弱いと解っていてやるから質が悪いと、γは毎回苦笑しながら聞いてしまうのだ。


「せめて、お手柔らかに頼むよ。」

「ありがとう!γは優しくて大好きよ!」

「それで、最後らしいお願いってのはなんだ?」

「十年前の私を見つけたら匿ってほしいの。絶対に白蘭に近付けないで。」

「はあ…?」

「それじゃあ、よろしくお願いします!」

「おい!…まったく、何で俺なんだか…。」


γはもう姿の見えないましろに大きなため息を吐いて再び酒をあおる。

彼女が何故あんなお願いをしたのかぼんやりと考えながら、白蘭に秘密ということにまたため息が零れた。

普通に嘘が通じる相手ならまだしも、よりによって彼はその逆の人物に当たるのだから。


「まいったなぁ…。」


そのうち来るであろう白蘭の部下をどの様に追い払うか。

こんな時に限って信頼できる自分の部下は留守にしている。

いつも以上に苦労しそうな予感がして、γは一人ひたすらに苦笑していた。



...
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ