-White Snow-
□6.霧の中で。
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ヴァリアーの中は騒然としていた。
つい先日スクアーロとましろが持ち帰ったハーフボンゴレリングが偽物とわかったから。
「日本へ発つ。」
その一言で周りの部下は幹部の仕事の引き継ぎやら準備やらで常に廊下を走り回っていた。
既に準備を終えていたましろは中庭でその様子を観察する。
元々、時間をかけるようなものがないだけにこういう時は楽でいい。
しばらくしてベルが呼びに来た。
「出発するってさ。カス鮫が吠えてうるさいのなんの。」
「うん!すぐ行く!」
ましろは直ぐにベルのもとへ駆け寄る。
帰ってきてすぐにまた日本へ戻ることに戸惑ったけれど、ちゃんと綱吉に謝れる機会と思えばなんということはなかった。
着いたら真っ先に。
…の、はずが。
日本に着くまでは順調だった。
予定通りにヴァリアーの奇襲があり、
予定通り?に門外顧問の仲介が入り、
リング争奪戦の話が出来上がる。
「ましろ……おるすばん…」
その後、戻ってきたスクアーロが異常に暗いましろを必死に慰めたとかないとか。
なんとか立ち直ったましろは何故か外に出られないので、マーモンと幻覚で遊んでいた。
傍で見ていたベルがたまに作った幻覚をナイフで破壊したりしてちょっかいを出す。
ヴァリアー内ではいつの間にか仲良し三人組。
一人でない時は大抵その誰かと一緒にいるせいもある。
「まーもん!この人は寿命だよ!」
「そうだったかい?」
「ししっ。王子が処理してやるよ。」
「あーっ!べる!隣はまだだめー!」
「慰謝料払わないとだね。事故にはよくあるよ。」
「お前ら一体、何してんだぁ…?」
一部始終を見ていたスクアーロだが、徐々に物騒になる会話に口を挟んだ。
今となってはそれを後悔している。
「すくママがべるに刺されちゃったの!」
「仕方ねーじゃん。そこに突っ立ってんのが悪い。」
「予定より早い消滅だったよ。」
「う゛おぉぉい!クソガキども!今すぐ表に出ろ!三枚に卸してやる!」
「きゃーっ助けて、るっす!」
「んもぅ〜沸点低いわねぇ〜。」
こんな賑やかな日が、ましろにとって一番の幸せで癒しになる。
争奪戦が本格的に始まればこうなることもないと、頭の片隅で悟るように。
少しでも長く、自然に笑っていられるように。
戦いの音はすぐ近くに。
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