-White Snow-
□2.初めまして。
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…その後、ましろは綱吉の家にいた。
厚手の服を着て、両手でホットココアの入ったマグカップを大事そうに持っている。
外は相変わらず雪が降り続き、銀世界が広がっている。
「ましろちゃん。」
部屋に戻ってきた綱吉にましろは笑って返事をする。
「ごめんね、母さんが色々と。」
落ち着く少し前…
家に上がってから、綱吉は母である奈々にましろのことを説明した。
奈々は自分の子供が増えたかのような喜びようで迎えてくれ、そこまでは良かった。
服を着替えるという話になってから、ましろは着せ替え人形のように振り回される羽目になってしまったのだ。
綱吉はもう一度だけ、本当にごめんと謝る。
ましろは全く気にする素振りもなく首をゆるゆると横に振った。
「ましろのこと、想ってくれたから嬉しい。ありがとう、つなよし。」
ふわふわと笑う姿がとても可愛らしい少女。
幼い容姿も仕草も見た目相応なのに、綱吉には何か違和感があった。
会ったばかりでそのことを口にできる程の度胸は無いけれど。
「ましろちゃんは、どうして傘もささないであんな所に?」
「ん…。それはましろにもわからない。」
「そっか…。お父さんとかお母さんは?迷子…とか?」
「つなよし。」
急に名前だけを呼ばれて、思わずごめんと言った。
悪いことを聞いたつもりは無かったがそうした方がいいと思ったから。
ましろは少し俯いて、空になったマグカップを見つめていた。
「…みんなね、ましろが見えてないの…かな?」
「え…?」
「つなよしと、ママはちゃんと見えるけど、他のみんなは…」
「そんなこと!」
綱吉は無意識に大声を上げていた。
吃驚して目を丸くしているましろに悪気を感じたけれど、何か言わなければ消えてしまいそうな気がしてならなかった。
「そんなこと…ないよ。オレが言うのもなんだけど…ましろちゃんはちゃんと見えるよ。他の人だって、絶対。」
説得力も根拠も無い。
だけどましろは嬉しそうに、少し泣きそうに笑った。
「あー…えと…そ、そうだ!明日さ、オレの友達が遊びにくるからさ!」
微妙に重くなってしまった空気をどうにかしようと必死になる綱吉。
それがどうにも可笑しくて、ましろは声を上げて笑った。
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