それ楽しい?

□竹やぶ焼けろ
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委員会活動もなかったもので、というよりもともと委員会に所属していなかったので、今日も今日とて放課後は暇であり天気もいいし仕方がないので木陰で昼寝をすることにした。
周りの六年なんかは委員長を務めているものだから日々忙しくしているのに、私と来たら毎日毎日暇しているなんて正直恥ずかしい。
火薬とか生物なんかは委員長ほしいはずなんだけどなぁおかしいなぁ。


『さてこの辺で……、ん?』


いつもの私のベスト昼寝ポジションですやすやと眠りにつこうと思ったら、すでに先客がいたようで、しかもその先客というのも一人でなく三人……、というか三人……、ではないな、匹……より羽だろうか。
つまり私の目の前にいるのは、随分愛くるしい見た目のウサギであった。


『おい竹谷!!』
「はいはいはい!
……姫宮先輩が何のようですか、って先輩何持って……。」
『見ればわかるだろウサギさんだよウサギさん!
私のいつものお昼寝スペースにいたの!
せっかく持ってきてあげたんだからご飯くらいおごってくれてもいいと思うんだけど!』


ウサギを抱えて生物委員会の飼育小屋に向かうと竹谷が相変わらず嫌そうな顔をして出迎えてくれた、嫌な顔をしたいのはこっちのほうなんだけど。
竹谷は私と私の腕の中にいる生き物を見て、今度は不思議そうな顔をし始めた。


「いや……、生物委員会で飼っているウサギは逃げてませんが……。」
『はぁ?
冗談はよしてくれる?
これ明らかに君たちのところのでしょう。』
「いや、だから逃げてないですってば……!」
『責任逃れするなってばよ!』
「ウザい!」


問い詰めても問い詰めても問い詰めても散々問い詰めても違う違うとしか言わない。
どうやら彼曰く、私のお昼寝スペースにいたウサギは生物委員会で飼育しているものではなく野生のもので、山の方から迷い込んでしまったらしい。
しかし私のいつもの昼寝場に目をつけるなんてなかなか出来るウサギだ。
このまま捕まえておくのも何だから山に返しに行こうということになったので、私もそれについて行くことにした、なぜなら暇だから。


『へぇ、じゃあ生物委員会は関係ないわけだ。
超言い掛かりつけてしまったじゃないか、恥ずかしい。』
「本当ですよ。
でも普通ならここに持ってくるのは当然ですかね。」
『いやでも変に疑ってしまったのは謝るよ。
……ごめん。』
「先輩ってちゃんと謝れるんですね!」
『なめてんのか!!!!
まるで私が人らしからぬ存在みたいな、私だってちゃんと謝るときは謝るよ人間だもの!!!!』
「痛い!痛いですって!」


生意気な事を言ってしまった竹谷のほっぺをウリウリとつまむと、すごく痛そうな表情をされた。
私は彼にだけは容赦はしないからな。
だって強そう。
いつもいつも彼に当たりが強いのは私なりの愛情表現というか、五年生の中で一番強そうだから大丈夫かな、みたいな。


『大体私が人として認識されないような生き物ならお前が飼育してくれるのか〜?
お〜?』
「いや、まぁ、ううん……。
先輩が人じゃなくなった時になったら考えます。」
『えっ……。
う、うん。』
「自分で言っておきながら何自然に照れてるんですか気持ち悪い……。」
『だって拒否されると思ってたから!!
というか本当に驚くほど失礼だな!!』


このように先輩である私に対してものすごくキツイことを言う彼だけれども、少なくとも私の事を嫌っている訳では無いということは伝わってくるし、勿論私だって普段からこいつにだけは無駄にでかい態度をとっているのは嫌いだからじゃないし、それは彼に伝わっているはずである。

でもあまりにも私に対する態度はキツイからな、私はあくまで先輩だからな?


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