それ楽しい?

□どちらかと言えば犯罪者
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私が少しだけ太ってしまったようですが、そこは心配せずともちゃんと元に戻るように運動をしているのです。
だって細マッチョ、スラッとしてるってキャラで生きているんだもん。
ここ最近は毎日マラソンをしているし、甘味も控えているし、授業だって体を動かすようなものならいつも以上に力を入れて臨んでいるからもうすぐ成果が表れるはずだろう。
そして今日はいい運動になるからと、小平太と長次に混じってバレーを死ぬ気でやっている。
長次がトスをしたボールを小平太がアタックし、私はそれをレシーブしているのだが死ぬ気でやらないとが本当に死にかねないと思う。


『もう腕痛い!!!!!』
「…。」
「いけいけどんどんアターーーーーック!!!!」
『おい!
またどこ飛ばして……!?!?!?』


ボールの飛んでいった方から、ボスッと鈍い音がする。
待て待て待て待て。
たぶんだけど、まずい。

急いでそちらの方へ向かうと転がったボールの付近に、金髪のチャラ男が倒れていた。
どこぞの斎藤タカ丸じゃないか。
よりにもよって、何でまたコイツが出てくるのかと思わざるを得ない。
私の後を追いかけてきた2人も人が倒れているのを見て驚いた様子であった。


『ちょっと待て、これはまずくないか。
小平太何やらかしてんのほんとに!!』
「いやー、長次のトスがあまりにも良かったからつい力を入れ過ぎてしまったな!」
「……今までで1番打ちやすいトスだろう。」
『自画自賛してる場合じゃないよ!!!!!!!!』


暴君と妖精さんのペースに飲まれて頭を抱える。
こいつらやべぇ!!!!!
どうにも事の重大さを分かった様子ではない。
とりあえず息はしているようだし倒れているだけだから、転んで石とかにぶつかったとか何とか言って保健室に運ばなければ。
本当は責任なんて私にこれっぽっちも無いはずなんだけど、友が悪者になるのを防がなければなるまい、私ってなんて友達思いのクズなんだろう!!!!!


『ほら、さっさと保健室に運ぶぞ!
二人も手伝っ「おっと、そろそろ委員会の時間だ!
今日は裏裏裏山までマラソンだったな、いけいけどんどーん!!!!!」
『えっ』
「……委員会の時間だ。」
『お前は確実に後付けの理由だろうなお前らのそういうところ嫌いだわ!!!!』
「じゃあ浅彦、ボールの片付けよろしくな!」


お前の目にはボールしか見えてないのかこの畜生め。
小平太はものすごいスピードで走って行ってしまうし、長次もいつの間にかいなくなってしまった。
完全に私が後始末をするスタイルじゃないか。
これはあれか、いつも他のみんなに迷惑しかかけていない私に神様が与えた罰なんだな、もうどうしよう許してほしい。

倒れているその黄色いの、タカ丸をボールを持って見ているわけだから傍から見たら完全に私が悪いじゃないか。
大体なんでこいつなんだ、もう少し美人な人でもいいと思うんだけどこればっかりはアタックをした小平太を恨まざるを得ないし、良いトスを上げた長次をも恨まざるを得ないし、ここにいたタカ丸を恨む他無い。


『大体、どこにボールぶつかったんだ……。』


あの殺人鬼が打ったボールだ、保健室に運ぶにしても当たりどころが悪ければ下手に動かさないほうが良いと思う。
見たところ顔に傷はないし、顔以外の何処かに当たったんだろう。
しかし腹部だったら下手すると内臓破裂……。
いやいや無い無い無い無い……。
……あるか。
最悪の場合を考えていたら、何だかものすごくこれがヤバイ事だと気付いて妙に焦る。
とりあえずどこに当たったか確認して、大丈夫そうだったら保健室に運ぼう、そうしよう、そうするしかない!!!!!

急いで頭巾を外して、着ている忍装束を脱がそうとする。
上半身部を脱がしてみるがアザになっているような所はないので、足のどこかに当たってしまったのか。
下の方まで脱がそうとしたその時。


「えっ……。」
『ん?
気が付いた!良かった!
どうなることかと思ったよ!』
「……ナニしてるの、浅彦くん……。」
『え、何って。』


良かった!!!!!
タカ丸が起きてくれた!!!!!
これで私が殺人の容疑者にならずに済んだんだ!!!!!
と思ったのも束の間、彼が青ざめて私の方を見ているわけだから私もさすがに自分がヤバイことをしているのに気づいた。

上半身は露わになっているし、次は下半身に手をかけようとしている。
これはなんか殺人未遂とかそういうものより世間的に死んじゃう気がする。


『違うんだよタカ丸、私はお前を助けようと思って、決してそういうことをするために脱がしているわけじゃないんだよ、そもそも私は男にそういう気を持った試しがないから!!!!!』
「誰か!!!!助け『もう少しおねんねしてろよ!!!!!』



弁解をするものの、信じてはもらえず叫ばれてしまった。
思わず彼に気絶するほどの一撃を加えてしまった。
どうしようもないので、ここから私の演技力が試される。


『ああっ!!!!!!
誰か倒れてる!!!!!!
急いで保健室に運ばなきゃ!!!!!』


私もまだ世間的に死にたくないので暴力的な意味で思わず手が出てしまって、目を覚ました彼を再びおねんねさせてしまったが仕方ない。
私は悪くないという雰囲気を醸し出しながら服を元に戻して人が来る前に、彼を抱えて全速力で保健室にブチ込んだ。

ここ最近で一番いい運動になったし、彼があのことを覚えているのだろうかと思うと食欲が出なくて痩せるなどした。


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